試合終了直後のロッカー室に、湘南ベルマーレ山口智監督(44)の声が響いた。

厳しい言葉を投げかけられていたのは、この日のFC東京戦に後半41分から途中出場した19歳のFW鈴木章斗だった。

鈴木章は2-2の後半アディショナルタイムにカウンターから持ち上がり、渾身(こんしん)の右足シュートを放ったが相手GKスウォビィクに防がれ、勝ち越しのチャンスを逸していた。

山口監督は試合後の記者会見で「あそこで(パスではなく)打ったことは、今後ストライカーになるために必要な姿勢なのでは?」という質問を受けた。

すると「彼が上に行くために、(シュートを)打ち切ったことを褒めてあげたいというのが、特に日本にはあると思うんですけど、まったくそうは思わない」ときっぱり言い切った。

山口監督はそれから詳細に自分がなぜ怒ったのか説明した。

「同じような状況が3試合ぐらい続いていて。勝つために必要な選択ができる選手になってほしいし、自分が生き残るためにもそういう選択ができる選手にならないといけないし、チームを勝たせるためにはそういう選択をしないといけない」

「試合が終わって言ったのは『同じ事を何回も繰り返すな』と。決断は尊重しますし、打ったことに彼も後悔はないと思うんですけど、起こった結果に向き合ってほしいと思う」

「もっと(得点の)確率が高いところを選べなかったのか。それが3回くらい続いたので。同じことを繰り返していてはまだまだだと思いますし、勝たせる選手になるためには、そういうところを乗り越えてほしい」などと厳しい口調で、そして期待を込めながら話した。

さらに「若いからとかそういうことじゃなくて、ストライカーだからとか、そういうことでもなく、サッカーとして数的優位のところをどう考えるのかというのは、本当に日本の大きなテーマだと思う」と日本サッカー界の選手育成にまで踏み込んだ。

一方の鈴木章は、5日のYBCルヴァン・カップの清水戦でゴールを決めながら一転、この日は指揮官から説教を食らってしまった。試合後は神妙な表情で「パスを考えながらボールを運んでいた中で、相手がなかなか食い付いてこず、ペナのちょっと外ぐらいだったので、シュートを打ちました。結果がすべて。結果(シュートが)入ってないということなので、そこが心残りです」と話した。

今後、同様の場面が巡ってきた場合について聞かれると「練習でもああいう場面は必ずあると思うので、練習で本当にやるしかない。状況にもよるんですけど、まずFWとしてゴールを狙った中で、場面によってパスという判断もしないといけない。ゴールはこれからも意識してやっていきたい」。

FWとしてゴールを狙いつつも、パスの方が得点の確率が高いような状況であればパスを選択するという判断力も磨いていくことを誓った。

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