3年ぶり11度目の選手権出場を狙う桐蔭学園が、夏のインターハイ全国準優勝の桐光学園をPK戦の末に退け、決勝進出を果たした。
前半11分、1年生FW瀬尾凌太が相手センターバックが蹴り出そうとしたボールをすぐさまブロック。前方にこぼしてマイボールとすると、前へ出てきたGKの足もと抜いて先制ゴールを決めた。
幸先良く1点をリードした桐蔭学園に、アクシデントが起きた。前半26分、相手スルーパスに鋭く前へ出てセーブを試みたGK神保颯太(3年)が、勢い良く飛び出してきた相手FWと激突。顔面にスパイクのポイント部分がぶつかる危険なプレーを受け、たまらず倒れた。出血が止まらず、試合は10分近くもストップした。
神保は序盤から鋭い出足で桐光学園のクロスボールに的確に対応し、主将としてチームを鼓舞していた精神的支柱。交代となればチームも大ピンチになりそうな状況だったが、大事に至らず試合に戻ることができた。
攻撃力に勝る桐光学園に押し込まれながらも、全員でボールを追い、球際の攻防で互角以上に渡り合った。前半を1点リードで折り返した。
しかし後半5分、注意していた桐光学園のゲームメーカー、MF松田悠世(3年)のパスからFW宮下拓弥(3年)に決められ、同点とされた。1-1。試合は振り出しに戻った。
一進一退の攻防が続く。桐光学園の鋭いサイド攻撃をしっかり受け止め、素早くカウンターを狙った。伝統校同士ががっぷり四つに組み合った好ゲーム。勝ち越し点は生まれず、時間ばかり過ぎた。そして40分ハーフの前後半が終了した。
合計20分の延長戦に突入。前半2分に桐光学園の松田がドリブルで持ち込み右足シュートしたが、これはわずかにゴールを外れた。これがこの試合最後の絶好機。以降、両者の集中力は切れず、高いインテンシティを発揮した両チームのプレーが目立ち、決着はPK戦に持ち込まれた。
そのPK戦で両チームとも2人目が失敗、3人目を終えて2-2となった。そして勝負の分かれ目となったのが、4人目。桐光学園のエースFW宮下のシュートを、桐蔭学園GK神保が右に跳んで止めた。この主将の1本が決め手となり、PK戦を4-3と制した。桐蔭学園が3年ぶりのファイナルへと勝ち上がった。
チームを勝利に導いた神保は右目周辺を腫らし、裂傷も負った。負傷を押して最後までピッチに立ち続けた。「ゾーンに入っていたので(激突したけど)痛くなかった。意識はあるから大丈夫、と言って出ました」。意識はしっかりし、視界も確保できていたのでプレーに支障はなかったという。
自らの理想するGK像は「勝たせるキーパー」と言い切る。その言葉の意味は「僕が直接的にゴールして勝たせることはできないですけど、失点しないこと。今日みたいな1-1の場面で、どれだけ自分が細かいところまで抑えられるか。それが自然と勝たせるキーパーにつながってくると思います」と説明する。
決勝の相手は、こちらも夏のインターハイで全国4強の強豪・日大藤沢。インターハイ予選の準決勝でも対戦しており、1-1からのPK戦で敗れている相手だ。神保は「次に勝たなければ意味がないので、絶対に勝ちたい」と誓う。
「勝たせるキーパー」神保が、決勝もキーマンとなりそうだ。



