いよいよ20日からサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会が開幕する。世界的コロナ禍の状況で初めて開催されるW杯本大会となる。

国内では各自治体が参加費無料のパブリックビューイング(PV)を企画し、積極的に参加を募っている。感染拡大が広がる傾向にあるが、どのような感染対策がとられているのだろうか?

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日本代表の1次リーグにおける試合開始時間は初戦23日ドイツ戦は日本時間は午後10時、第3戦の12月2日スペイン戦が早朝午前4時と会場の使用時間外となるため、自治体の組めるPVとしては、おのずと午後7時キックオフの第2戦の27日コスタリカ戦になってしまう。

東京・府中市はJ1チームのFC東京のホームタウンということでW杯4度目出場のDF長友佑都(36)への応援を中心としたPVを企画した。過去には五輪や女子サッカーなどはあったがW杯本戦のPV開催は府中市では初めて。

観戦対象者は市民と市内在勤、在学の個人から4人までのグループの事前申し込み。定員200人に期限の15日までに150組計433人の2倍以上の応募が殺到した。

市スポーツタウン推進課では今年5月にラグビーのPVを行った。「ジャパンラグビー リーグワン2022」のプレーオフ準決勝(東大阪市・花園ラグビー場)で、府中市をホームタウンとするサントリーと東芝が対戦する“府中ダービー”となり、市民からの要望も踏まえて実現。同課では「感染リスクを広げないため会場を屋外とした」と、週末に歩行者天国をするけやき並木通りに巨大モニターと椅子を設置して実現。感染拡大もなく、PVは無事成功に終わった。

今回も同所で夜空の下での開催とした。マスク必着で声出し禁止を呼びかけるが、観戦者全員にペンライトを配布することにした。「希望の光がカタールまで届け、との思いです」と同課では無言ながら会場がキラキラする応援スタイルを提唱する。【寺沢卓】

○…府中市に隣接する東京・調布市もFC東京のホームタウンだが、長友の応援だけではなく、調布出身のMF相馬勇紀(25=名古屋)も応援するべく、1200人収容の多目的ホール「調布市グリーンホール」を会場とした。2階席は封鎖して800人前後に入場を抑える予定だ。事前申し込みはなく、27日の当日先着順で市民に限らずすべてのサッカーファンを対象とした。06年ドイツW杯からPV開催を続け、今回で5大会連続と経験を積んでいる。

市スポーツ振興課では「それでもコロナ禍では初めて。ハイタッチや声出しは控えるアナウンスはしていく」としながら、密になる状態は避けたいこともあり「来場者が多い場合は2階席の開放なども視野に入れたい」と入場者が多数になった場合の柔軟な取り組みも検討している。

○…高速ドリブラーMF伊東純也(29=仏スタッド・ランス)の地元神奈川・横須賀市も27日に横須賀市文化会館大ホール(1000人収容)を会場として市民、市外在住者関係なく800人前後を先着順で受け入れる予定だ。同市でのW杯を対象としたPV開催は初の試みとなる。

市スポーツ振興課では、元川崎FのDFで日本代表経験もある寺田周平さん(47)、川崎Fなどでプレーした元日本代表MF谷口博之さん(37)、逗葉高校で伊東と同級生だった鳥栖MF小野裕二(29)の3人をゲストとしてハーフタイム時に試合解説のトークショーも用意した。

マスク必着で入場時に手指の消毒を義務づけ、同課は「声出し制限もします。ステッィクバルーンを配布して盛り上がっていただきたい」。入場時間も試合開始30分前の午後6時30分として来場者同士が接する時間を短くするが「行列ができた場合は午後6時入場にすることも」と対応する。