開幕戦に登場した開催国カタールの歴史的W杯1勝はならなかった。

立ち上がりからエクアドルの攻撃の前に劣勢を強いられた。

前半3分、相手FKからの流れでFWバレンシア(フェネルバフチェ)に頭で先制ゴールを押し込まれた。だが今大会から導入されたセミオートマのオフサイド判定システムによって、この先制点は「幻のゴール」となった。

普段であればこのラッキーなゴール取り消しによって、カタールに勢いが出てくるところ。だがこの日はW杯初戦の緊張からか、見ていて気の毒になるほど基本的な「止める・蹴る」ですらできていなかった。

スペイン人のサンチェス監督がたたきこんだパスサッカーはまるで発揮されず、ルーズボールもことごとく試合巧者エクアドルに奪われた。

カタールは硬さがとれないまま、前半16分にGKシーブがバレンシアを手でひっかけてPKを献上。これを決められて先制を許した。さらに同31分には相手右クロスを再びバレンシアにヘディングで決められた。

カタールは前半終了間際に右クロスからFWアリ(アルドハイル)がヘディングゴールを狙うも、決まらず。

ややパスもつながりだした試合終盤にはDFからの縦パスに抜け出したムンタリ(アルドハイル)が右足ダイレクトシュートを狙ったが、これもゴール上に外れた。

そのまま0-2で試合終了。サンチェス監督は「(開催国としての)責任や緊張感に負けてしまったのかもしれない。ひどい立ち上がりで、それで試合のほとんどが決まってしまった。(次戦へ向けて)重圧を忘れ、もっと戦えるようにならないといけない」と話した。

大会前、元オーストラリア代表のスターで、現在カタールのスポーツ選手育成機関「アスパイア・アカデミー」でチーフ・スポーツ・オフィサーを務めるティム・ケーヒル氏は「歴史的1勝にも期待したいが、自分はカタールで誰が一番はじめにW杯で点を取るかということにも注目して見ている」と述べていた。

ケーヒル氏は06年W杯ドイツ大会1次リーグ・日本戦でオーストラリア代表のW杯1号ゴールを決めた。その時の感動を知っているからこそのコメントだった。だがこの日の開幕戦ではカタールのW杯初ゴールは生まれなかった。