男子100メートルで世界選手権(8月、ロンドン)代表の多田修平(21=関学大)が追い風0・3メートルの条件下、10秒21をマークして2年連続で優勝した。2位で代表入りを決めた6月24日の日本選手権の疲れを残しながら、大会記録を0秒16更新。「アップの時から体が動かなかった。いいタイムをお見せできなかったけれど、あの中では許せる範囲かな」。期待された9秒台は遠かったが、及第点はつけた。

 レース5分後の午後7時で気温27・5度、湿度81%。日中の女子1万メートル競歩では10人を超える選手が脱水症状を訴えるなど、過酷な条件だった。序盤でリードするも、いつもの弾むような走りではない。「良かった点は…ないですね」。日本選手権決勝から中5日で前日30日に予選、準決勝を走り、この日は決勝と疲労はピーク。100メートルの後に予定していた400メートルリレーは出場を取りやめた。

 追い風参考ながら9秒94をマークした6月10日から3週間で9レースをこなした。今後はレースに参戦せず、初の大舞台に向かって「筋力がへたっている。疲れを取りながら、筋力トレーニングをしていきたい」と再調整を図る。1年前は10秒46。苦しみながらも示した0秒25の成長を自信に、後は進むだけだ。【松本航】

 ◆多田修平(ただ・しゅうへい)1996年(平8)6月24日、東大阪市生まれ。石切中で陸上を始め、大阪桐蔭高時代の自己記録は10秒50。現在は関学大法学部3年。自慢は中盤までの加速。好きな食べ物はパフェで、趣味は写真を撮ること。家族は両親と弟。176センチ、66キロ。