昨夏の世界選手権女子1万メートル代表で、初マラソンの松田瑞生(22=ダイハツ)が2時間22分44秒で優勝した。躍動感あるフォームで31キロ手前で先頭に立ち、日本歴代9位、初マラソン歴代3位の好記録。20年東京五輪代表2枠を決めるグランドチャンピオンシップ(GC)の出場権を獲得した松田を野口みずきさんが解説する。

 ◇  ◇  ◇

 女子マラソンの起爆剤になるような大会でした。松田選手は、最近にはないパワフルなフォーム。ダイナミックだが、体がぶれない体幹の強さがある。私の現役時代に近いかなと思った。前半が1時間11分59秒、後半が1時間10分45秒とペースアップしており、後半になるほど元気になった。1万メートルの選手がそのままマラソンを走り切った印象で初マラソンでも冷静だった。話を聞いても頭の回転が早く、明るい性格で、動揺する場面も少ないだろう。

 2位の前田選手は25キロで前に出た。スパート勝負で劣る日本人が世界大会で勝つには中盤から自分で仕掛けること。終盤失速を恐れず、勇気を持って実行したことは素晴らしい。松田選手は22歳、前田選手は21歳と若い2人がレースを動かした。これは最近見られなかったこと。2人を見て「私も」と勇気をもらう選手も多いでしょう。(04年アテネ五輪金メダリスト)