全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)は22日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間(42・195キロ)で行われる。プリンセス駅伝2位のヤマダホールディングスは選手層の厚さが特徴のチーム。15年世界陸上北京大会1万メートル代表だった西原加純(31)を、チーム状況に応じてどの区間にも起用できる。勝敗を左右するシーンに、ベテランが登場する可能性がある。

西原が9月に5000メートルで15分28秒16と、久しぶりに元気な走りを見せた。自己記録にはまだ8秒開きがあるが、16年以降では自己最高タイムである。

特に18年以降はトラックのタイムも、クイーンズ駅伝の走りも低調だった。その間に西原は自身の走りを見つめ直した。

「体の動かし方や、効率よく進む走り方をすごく考えるようになりました。私は左側に傾くクセがよく出るのですが、それを直すために左の腹筋、大腿裏、臀部を、右側より多めに鍛えましたね。左側だけに限らず、腰が落ちて脚だけ前に出る走り方になっていたので、腰を入れて上体で走る感覚を持てるようにしました」

コロナにより試合がなかった4~6月にじっくり走り込んだことも、立て直すことができた要因だった。「代表復帰も見据えて調子を上げているところです」と、ベテランに再び火がついている。

プリンセス駅伝は1区の清水真帆(25)が区間2位、3区の筒井咲帆(24)が区間3位、5区の石井寿美(25)が区間1位と、主要区間は好成績を残している。

エースの筒井は、昨年のクイーンズ駅伝は区間10位だったが、一昨年は区間3位と3区(10・9キロ)の実績がある。今季は1500メートルと5000メートルで自己新も出した。

石井は5区(10・0キロ)区間賞候補だろう。クイーンズ駅伝は1区(7・6キロ)の重要性が高くなっているため、5区へのエース級の出場が以前よりも少なくなっている。ヤマダが追い上げる区間となるだろう。

清水は日本選手権1500メートル6位とスピードがつき、5000メートルでも3日に15分48秒76で走った。風が強い悪コンディションで、「15分20秒くらいの内容だった」と森川賢一監督。1区で区間上位が期待できる。

主要3区間は積水化学や日本郵政グループに及ばないかもしれないが、入賞圏内を維持する力はある。そして主要3区間以外の区間で、選手層の厚いヤマダは間違いなく区間上位で走るだろう。

そのなかでも西原は、16年大会に6区で区間賞を取ったように、アンカーなら20~30秒差を逆転できる。2区や4区なら流れを大きく変えられる。他チームにとって、代表経験選手が主要区間以外に来られたら脅威だ。主要3区間の選手の調子が落ちてしまった場合は、代役以上の走りを期待していい。

森川監督は「5位以内に入れればいいでしょう。“小欲”で臨みます」と控えめな目標だが、佛教大時代からの教え子である西原は「優勝もしっかり頭に入れている」と言う。

「今年は実業団10年目の節目なんです。夏以降、これだけトレーニングが継続できたのは初めてです。みんなと一緒に練習できたことが力になっていますから、駅伝で結果を出して、喜びをみんなで分かち合いたいですね」。

14年と16年の2大会で3位になっているヤマダ。それ以上の成績を残すには、西原の走りがカギを握る。