<陸上世界選手権>◇第7日◇16日◇モスクワ◇男子200メートル準決勝

 飯塚翔太(22=中大)が、ファイナリストの座を逃した。午前の予選を20秒71で進んだ準決勝。世界記録保持者のウサイン・ボルト(26=ジャマイカ)と同じ2組を走ったが、20秒61で7着となり、決勝進出は阻まれた。この種目では03年パリ大会で銅メダルを獲得した末続慎吾(ミズノ)以来、世界選手権2人目の決勝進出はならず、世界の壁を思い知らされた。

 はかなく散った。ボルトと同じ準決勝2組。飯塚はスタートで出遅れた。1レーンでもっともきついコーナーの出口で最下位。そこから必死で1人を抜いたが、20秒61で7着だった。

 「厳しい展開でしたけど、何とか(決勝に)いきたかった。う~ん、まあこんなものかなあ」

 日本人2人目の決勝に届かなかった。午前の予選を通過して「とっととホテルに帰って2時間ぐらい昼寝していきます。準決勝からが本当の勝負」と臨んだが、世界の壁に阻まれた。

 シーズン開幕時から期待された。5月3日の静岡国際で日本歴代3位の20秒21。日本陸連の伊東浩司短距離部長は「1つの殻を破って、いよいよ大輪の花が咲くころ」と期待。飯塚も「自己ベスト近くを出せば決勝に行ける。“でかい日本人がいるゾ”と世界にアピールするチャンスだから」と皮算用をはじいていた。

 10年世界ジュニアの同種目を、アジア人として初制覇。スケールの大きさから「和製ボルト」と命名された。しかし昨年ロンドン五輪は「アドレナリンが出ず、変に冷静すぎた。自分は緊張と興奮がないと走れないタイプなのに」。予選落ちの悔しさから「今年こそ決勝に出て強い人たちと走る」と誓った。日本人初の9秒台が期待される100メートルばかりが注目される中、それ以上の価値があるとされる200メートルの19秒台突入に向け「9秒台より先に出したい」とも話していた。

 昨年はインフルエンザや故障にも悩まされた。その反省から体のケアは怠らない。この冬は温暖なオーストラリアや米国で合宿。12月でもスパイクをはいて練習できた。決勝進出は逃したが、ボルトとの違いも肌で感じた。明日18日は400メートルリレーに出場。モスクワでは桐生、山県に手品を教えるなど明るい性格のアンカーが大トリを務める。