いよいよパラリンピックが開幕。今回はパラトライアスロンの出場選手について触れたい。
パラトライアスロンは8月28、29日の2日間で開催され、距離はスプリントディスタンス(スイム750メートル、バイク20キロ、ラン5キロ)、カテゴリーは男女4つずつに分かれている。リオデジャネイロ大会から採用され、東京で2度目の実施となる。日本からは7選手が出場し、メダル獲得が期待されている。
◆土田和歌子選手(車いす)
通算8度目のパラリンピック出場。今回はなんとパラトライアスロンとマラソン競技に出場する。普段は穏やかな雰囲気で、お会いする度に心配りをしてくださるとても優しい方だ。誰もが尊敬する土田選手。2種目共に、ベストな走りを応援したい。
◆谷真海選手(運動機能障害PTS5)
東京大会の招致活動に加え、開会式の旗手も務めた。走り幅跳びで3回出場しているが、パラトライアスロンでは初。本来の谷選手のカテゴリーが東京パラリンピックでは開催されなくなったことで、彼女は自分より軽い障害のカテゴリーに挑戦。見事、参加資格を得るランキングに入り、出場を決めた。最後まで諦めず戦い抜いた精神力と、彼女にしかわからないプレッシャー、責任の中で勝ち得たものだと思う。本番ではのびのびと自分の力を発揮してほしい。
◆秦由加子選手(運動機能障害PTS2)
秦選手のことは、パラトライアスロンでパラリンピックを目指す前から知っている。2010年秋、出会った当初は周囲に義足ということを隠していた。ある日「『義足のこと、かっこいい!』って言ってくれてね、これからは義足を出そうと思うの!」と話してくれたことを思い出す。それからみるみるうちに実力と自信をつけ、今回2度目のパラリンピックに挑む。目標であるメダル獲得に向けて、期待がかかる。
◆円尾敦子選手(視覚障害)
今回、最初の発表の際は代表入りできず、一度は涙をのんだが、8月10日の追加選出で代表入りが決まった。彼女自身、パラリンピックを目指すことは集大成としている本大会なので、今持てる力を十分に発揮し、充実した笑顔でフィニッシュしてほしい。
円尾選手のガイドを務める菊池日出子さんは、ロンドンオリンピックを目指していた元エリート選手だ。経験豊富な彼女の安心感、パフォーマンスが円尾選手の目となり、フィニッシュへと向かう。
◆宇田秀生選手(運動機能障害PTS4)
2013年、片腕を失い、リハビリの一環としてトライアスロンを始めた選手だ。彼のトレーニングを何度か見たことがあるが、バイク・ランにおいては健常者のエリート選手と対等に戦う。そして、彼は心配になるほど練習する「練習の虫」だ。常に周りに目を向け、雰囲気を良くする天才でもある。明るく前向きな姿は、パラトライアスロン代表の柱となっている。今大会では金メダル候補の一角に名乗りをあげている。
◆米岡聡選手(視覚障害)
10歳の時に網膜剥離を発症、25歳で全盲となり、ブラインドマラソン競技などでも活躍している選手だ。普段の生活も全て感覚と音を頼りに生活している。空間察知能力の天才だ。見えなくても声や触れた感覚で、その人がどういう方か大体はわかるそうだ。
ガイドを務めるのは、椿浩平さん。彼もまた生命に関わる病気から復活した選手だ。このカテゴリーはとてもハイレベルな戦いになると予想される。米岡選手の粘りと、椿さんのリードで世界の強豪と勝負してほしい。
◆木村潤平選手(車いす)
先天性の下肢不全の選手で、元々は競泳のパラリンピック代表だった。2016年リオ大会でパラトライアスロン初出場となった。今回はリオ大会で最下位だったリベンジを期す。彼は日頃からトレーニングはもちろん、普及活動も積極的に行い、パラリンピックやパラトライアスロンの魅力を発信している。悔しさをバネに、最高のパフォーマンスを期待したい。
パラトライアスロンの選手たちと接する中で感じるのは、選手たちは常にポジティブで自分の目標を抱き、精進しつつ、互いを尊重し合っていること。ここに至るまで、想像し難い苦悩や試練があったと思う。「メダル獲得に期待」と記したが、メダルやその色だけでなく、さまざまな困難を乗り越え、それを美化することなく、謙虚でいる選手の姿、人々に勇気や力を与えてくれる活躍、生きざまを目に焼き付けてほしい。
(加藤友里恵=リオデジャネイロ五輪トライアスロン代表)







