今年8月に起こった地元「小松市」での集中豪雨災害。全国ニュースで衝撃的な光景を目にし、心が締め付けられる思いだった。そのあとすぐに、地元の被災した保育園3園を回った。その時ひと声で協力してくれたのが、トランポリン元日本代表の岸彩乃さんと柔道元日本代表でありオリンピック金メダリストの松本薫さんだった。

あれから2カ月ほどたった10月下旬。被災地支援の第2弾を企画した。それが「オリンピアン・パラリンピアンによるチャリティースポーツ教室」である。

スポーツ教室の講師たち。左からトランポリンの岸大貴選手、柔道の松本薫さん、筆者、カヌーの松下桃太郎選手
スポーツ教室の講師たち。左からトランポリンの岸大貴選手、柔道の松本薫さん、筆者、カヌーの松下桃太郎選手

今回は、石川県にゆかりのあるオリンピアン4人と共に開催した。メンバーは、前回も協力してくれた松本薫さんに加え、トランポリン日本代表の岸大貴選手(小松市出身)、そしてカヌー日本代表の松下桃太郎選手(小松市出身)の2人。2人とも東京オリンピックに出場した現役のアスリートだ。

イベントは参加無料。定員を80人とし、市内外から募集した。主催者なだけに、人が集まるか不安もあったが、あっという間に定員に達しホッとした。

オープニングでは、被災した園の1つ、あおばこども園の園児たちがマーチングバンドを披露してくれた。子供たちの真剣なまなざしや、小さな体でリズムを取る姿。今日のために一生懸命に練習してきてくれた背景を感じ、とても感動した。

そんな心温まる演奏からスタートしたスポーツ教室は、柔道(松本薫さん)、カヌー(松下桃太郎選手)、トランポリン(岸大貴選手)、体操(筆者)の4つのエリアを設置。そして、4つにグループ分けされた子供たちに、全ての競技を体験してもらった。

「体操教室」で子供たちと
「体操教室」で子供たちと

時間がくると、ローテーションで回ってくる子供たち。初めは表情が固く、しゃべらず黙々とやっている子も、しばらくすると「見て見て!」「出来た!!」「倒立からブリッジに挑戦したい!」など、子供らしい好奇心ある姿を見せてくれた。

短い時間だったが、今まで出来なかったことが出来るようになったり、新しい事にチャレンジする姿をたくさん見ることができて、とてもうれしかった。

終了後には、参加してくれた全員の子供たちから「楽しかった〜!」という何よりの言葉をもらった。元気と笑顔を届けに行ったつもりの私たちだったが、逆に子供たちから元気や笑顔をもらった。

そして、募金箱が置かれた帰りの玄関では、今回はリハビリのため参加がかなわなかったパラリンピアンでカヌー日本代表の瀬立モニカ選手からはビデオメッセージを、代表合宿で参加出来なかったボッチャで東京オリンピック銀メダリストの田中恵子選手からは、所属の「ゴーゴーカレー」さんより参加者全員にレトルトカレーのプレゼントが配られた。

「子供の元気は地域の元気」そのことを存分に感じられる素晴らしい時間だった。

マーチングバンドの子供たちと。後列中央は宮橋勝栄市長
マーチングバンドの子供たちと。後列中央は宮橋勝栄市長

今回のイベントを開催できたのも、小松市の方々、そして各競技の関係者の方々のご協力があってこそだと心から感謝の気持ちでいっぱいだ。

8月の集中豪雨被害から3カ月。

予想以上に復興には時間がかかっており、被災地ではボランティアの方々と共に、まだまだ大変な日々が続いている。

「私に何ができるだろうか。」今後も自分に出来る事で、大好きな小松に貢献していきたい。

(中川真依=北京、ロンドン五輪飛び込み代表)

「オリンピアン・パラリンピアンによるチャリティースポーツ教室」
「オリンピアン・パラリンピアンによるチャリティースポーツ教室」