熊本地震を乗り越えて3大会ぶり3度目の出場を果たした九州学院(熊本)は、体格で勝る朝明(三重)のFW陣を止められず、完敗した。

 0-36の後半24分、インゴール前での相手のパスミスに反応したSH西山将樹(1年)がチーム唯一のトライを挙げた。西山は「自分1人じゃなく、みんなで取ったトライ。みんなのおかげ」と感謝した。

 4月の熊本地震では校舎が損壊し、3週間の休校となった。西山も約2週間を車中泊で過ごした。「学校のグラウンド状況が分からなくて、ラグビーができないと思った」。それでも学校が再開されるまでは、出身の玉名中の練習に参加した。他の部員も車中泊やボランティアを行いながらで、自主練習を欠かさなかった。

 3大会ぶりの2回戦進出を逃したが、岡本直大監督(43)は「時間の大切さを感じた1年だった。大変な1年だったけど、よく頑張った」と生徒をたたえた。

 練習できない日々を乗り越えたプロップ松岡紘平主将(3年)も感謝の言葉を口にした。「地震があって練習できなかったけど、周りの方のおかげで再開できた。自分たちの力は小さい。周りの人たちの大きな力のおかげでここ(花園)まで来られた」。ラグビーができる幸せを感じながら、初戦で花園を去る選手の表情は晴れやかだった。