新生男子日本代表が、3年後の東京五輪へ好スタートを切った。2月に世界的な名将ダグル・シグルドソン監督(44=アイスランド)を迎えた日本は、満員のファンにも後押しされてライバル韓国と28-28の引き分け。福岡・博多高の部井久アダム勇樹(18)が男子初の高校生デビューを果たせば、筑波大の徳田新之介(21)はチーム最多の8得点、互角以上の戦いで東京五輪へ可能性を感じさせた。

 残り4秒、素早くつながれたパスを受け取った右サイドの渡部が、飛び込みながらゴールにボールを突き刺した。大歓声の中、シグルドソン監督は右手を振り下ろしてガッツポーズ。今年2月に船出した「ダグル・ジャパン」が、3年後の東京五輪に向けて過去30年で3勝2分け36敗という難敵と引き分け発進した。

 「選手はゼロから選ぶ」と宣言した通り、大胆な選手起用だった。高校生の部井久を選出し、後半の勝負どころで「思い切りやってこい」と声をかけてコートに送り出した。高校生として初の代表試合を経験した部井久はシュート2本も無得点。「点を取りたかったし、悔しい」と言いながらも「使ってくれたことはうれしい。もっと活躍できるように努力したい」と監督に感謝しながら話した。

 若手登用の一方で「代表に年齢は関係ない」とベテランも起用。36歳の宮崎を1年8カ月ぶりに招集し、これまでのセンターとは違う左サイドのポジションを与えた。わずか3週間の練習、右脇腹も痛めていたものの、韓国のマークを引きつけながら3得点の宮崎は「すごく新鮮。まだまだできる」と、監督の采配を前向きにとらえて笑った。

 2年前のアジア選手権で勝っているとはいえ、当時の韓国は若手中心だった。その前の勝利は27年前、それほどの難敵と引き分け「ポイント(勝ち点)を取れたことに価値がある」とシグルドソン監督は胸を張った。8月に2週間行う欧州遠征で「さらにレベルアップするはずだ」。開催国として32年ぶりに出場する東京五輪に向けて、指揮官は自信たっぷりに言い放った。【荻島弘一】