体操の宮川紗江選手(18)が練習中に暴力を受けたもののパワハラではないとの認識を示し、速見佑斗コーチ(34)の無期限登録抹消の処分に疑義を示した問題で、日本体操協会は29日、「被害者が暴力を許容しても、協会として許認することはありません」などとの見解を示した。

同日午後7時から都内で「速見佑斗氏処分に関する会見」を実施すると発表。同時に「宮川選手の代理人弁護士による報道機関あてリリース後の報道について」という文書も公表した。

文書では「標記の件、速見佑斗氏処分の検討時、並びに発表後も、本会としては変わらぬ考えに基づいて対処していることをここにご報告申し上げます」とした。また、文書には以下の9項目が記されている。

1 本会は平成25年以降、一貫して暴力撲滅に取り組んでおり、指導者による暴力行為には厳しい態度で臨んでおります。

2 倫理規定による処分は、倫理規定に違反する事実が確認できたときに行うものであり、被害者の申立を待って行うものではありません。被害者からの聞き取りも必須ではありません。倫理規定に違反する事実を認定できるかどうかが問題となります。

3 指導者による暴力行為を認定したときは、たとえ被害者が暴力を許容したとしても、協会として許認することはありません。

4 協会として、暴力を行う指導者を協会登録指導者として認めるわけにはいきませんし、指導者として試合に出場させることはできません。

5 練習場や試合場には他の指導者や選手がおり、暴力行為を目撃します。その悪影響を看過することはできません。

6 速見佑斗氏の登録抹消処分は、協会の指導者として不適格と認め、その登録を抹消するという意味です。登録を抹消されても、体操教室を経営し、または、選手を指導することは自由です。引き続き宮川選手の指導を行うことができます。

7 「無期限の登録抹消」は、除名処分とは異なりますので、永久に登録抹消するわけではなく、真摯に反省し、実績を積んだ後で都道府県より申請があれば、再登録が検討されることになります。

8 宮川選手は、従前どおり、ナショナルトレーニングセンター(NTC)で練習することが可能です。速見氏はNTCに入場することが規則によりできませんが、他の練習場所を確保すれば、速見氏の指導を受けることも可能です。

9 処分発効翌日の8月16日に宮川選手のご両親に対し、宮川選手にNTCでの練習と指導者をつけてのサポートを提案しました。お返事をいただき次第、サポートについての協議をさせていただく用意があります。

宮川選手は29日午後4時から会見して、見解を述べる予定。その先手を打つかたちで、日本体操協会が文書を発表した。