体操女子リオデジャネイロ・オリンピック代表の宮川紗江(18)への暴力行為で、日本体操協会から無期限の登録抹消と味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)での活動禁止処分を受けた、速見佑斗コーチ(34)が5日、都内で会見を開いた。速見氏は塚原千恵子女子強化本部長について「私だけじゃなく、提案したくても言ったら何かされるんじゃないか、意地悪されるんじゃないかというところ、怖くて言えない部分があった」と、女子体操界のコーチの多くが、塚原強化本部長に恐怖心を抱いていると明かした。

速見コーチは「塚原先生という、すばらしい実績のある方がいて、私だけじゃなく提案したくても、言ったら何かされるんじゃないか、意地悪されるんじゃないかというところ…怖くて言えない部分があった。言うことを聞かないとまずい、優遇されないというのは多くの指導者が感覚として持っているのは事実」と現場の指導者の多くが、塚原強化本部長に物を言えない現状があると赤裸々に語った。

その上で「現場のコーチがやろうとしていることを聞いて、吸い上げてほしい…1コーチの思いを聞いてほしいという思いがあると思う」と、各選手、コーチの話を協会側が聞くような、風通しの良い体操界になることを望んだ。

また宮川が、2020年東京五輪特別強化選手に選ばれていなかったことから、2年にわたり海外派遣されなかったことに関して、17年8、9月に事務局長と専務理事に相談したことも明らかにした。「2020に、よく分からない部分があった。なぜナショナル選手なのに制限がかけられるのか、何故そうする必要があるのか理由が分からなかった。強化本部長と1度、話をしたこともあった。協会のルールとしてナショナル選手、オリンピック選手でもあっても、派遣されないと正式に発表してもらえるなら従わなければならない…発表して欲しいと言ったことがある。お答えいただいていないのが現状の中できた」と明かした。

速見コーチは「体制が変わってほしいのか?」と聞かれると「体制が変わることがどうなるかは分からないので…強化本部長もコーチも選手も、みんな純粋に上を目指すために、どのコーチも思ってやっているのは事実。10人いれば10人、考え方も指導プログラム、プランも違う。1人1人尊重しつつ、話し合えるような環境にはなって欲しいという思いが現場にはあった」と現場の多くの指導者が、それぞれ独自の強化、指導を思う存分、行うことを望みながら、女子体操界として、そうはなっていない現状を吐露した。【村上幸将】