サントリーがJTをフルセットの3-2(25-19、21-25、18-25、25-22、15-12)で下し、新リーグの開幕戦を白星で飾った。

第1セットを先取しながら1-2と追い込まれたが、第4、最終セットを連取して再逆転。ロシア代表として12年ロンドンオリンピック(五輪)で金メダルを獲得している新外国人、ドミトリー・ムセルスキー(29)が要所で強烈なスパイクをたたき込んで勝利に貢献した。

高かった。身長218センチ、最高到達点375センチ。ムセルスキーのスパイクがライト、レフト、そしてバックから鋭角的にJTコートに突き刺さる。打点は相手ブロックのはるか上だ。ブロックとサーブでも2点ずつ挙げて、両チーム最多の30得点。昨シーズンの得点王、JTのエドガー・トーマス(オーストラリア)にも打ち勝った。

「ネバーギブアップで戦った。エキサイティングな試合ができて満足している。ファンのみなさんにこれからもいいプレーをお見せしたい」。リーグ最大の目玉選手はコートインタビューに色白なマスクを赤く染めて答えた。

ロンドン五輪決勝のブラジル戦、セットカウント0-2と追い込まれた状況でムセルスキーはミドルブロッカーからオポジットに急きょコンバートされ、高い打点から得点を量産してロシアに金メダルをもたらした。五輪史に残る逆転劇の主役を張った男は「私は1人のバレーボール選手。もっと勉強して成長するためには、日本の環境がふさわしいと思った。ロシア国内でやるべきことはなくなった」と謙虚に来日の理由を語った。

昨シーズンは1勝もできなかったJTを倒した荻野正二監督(48)も思わずニンマリ。「あの体で器用なところもある。まだ、一緒に練習してまだ7日ですが、さすがに勝負どころで決めてくれる」と新戦力の活躍を評価しながら、今後のパフォーマンス向上にも期待をこめた。

Vリーグはホーム・アンド・アウェー方式を明確に打ち出し、地域密着をより推し進める形で今季から新たにスタートを切った。この日の開幕戦はサントリーのホームゲームとして開催された。