右足首負傷からの復活優勝を狙う羽生結弦(24=ANA)は、SP94・87点で3位だった。自らが持つ世界最高点の110・53点を下回った。

冒頭の4回転サルコーが2回転になる痛恨のミス。続くトリプルアクセル(3回転半)は高さも飛距離も十分で大きな加点を稼ぎ、4回転-3回転の連続トーループも決めた。最終組1番滑走で、見守る約1万8000人の観衆を沸かせたが、演技後も表情は硬く、少し首を振るようなしぐさもあった。

右足首を負傷した昨年11月のグランプリ(GP)シリーズ・ロシア杯は、痛み止めを服用した強行出場でGP2連勝。驚異的な勝負強さを発揮したが、満足できないことがあった。「僕がスケートに熱中する方々がいるロシアの地でこういう結果になったのは悔しい」。ロシアは自分のスケートのルーツと話す地。そこで万全な状態で演技できなかったことに対して納得できず、その鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように銀盤に戻ってきた。

右足首の状態は完治とは言えないが「世界選手権に向けての状態としては100%」と自信を持っている。周囲の支えがなければ、この舞台に立つことはできなかった。「みんなに支えられて試合に出られるようになった。感謝して滑りたい」と昨年のロシア杯でのフリー以来、124日ぶりの実戦に臨んだ。