2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は13日、本大会会場の夢の島公園(東京都江東区)でアーチェリーのテスト大会を実施し、テスト事項を報道陣に公開した。

70メートル先の小さな的を狙う競技のため、会場設営における選手の視覚的な配慮や、集中力をそがない工夫を確認した。

的の後にある「セーフティーウォール」と呼ばれる壁を藤色にしたが組織委の森泰夫運営局次長は「国際競技団体にも良い色だと言われた。本大会もこの線で行くと思う」と述べた。この壁は決勝会場で6メートル、予選会場は4メートルの高さになる。決勝会場の壁には大会ロゴが描かれたが、ロゴの位置や高さも、的を狙う際の選手に影響するため今大会を終えた後、選手らの意見を吸い上げて本大会に生かす。

カメラマンの撮影場所も選手の集中力に影響しないよう「メディアハイド」と呼ばれ、人が数人は入れる建屋が用意された。建屋は競技エリアのすぐ両脇に設置され、選手の視覚に違和感を覚えさせない配色にした。今回は、選手が矢を放つ際に立つ地面の色と同様、茶系を採用。これも今回の意見を踏まえ、本大会に生かす。

会場の最寄り駅で、JR、東京メトロ、りんかい線の3路線が乗り入れる新木場駅は他のイベント会場が近くにあり、利用者で混雑する可能性がある。今大会は組織委主催の無観客大会のため、観客の誘導はテストしなかったが森次長は「今後のテスト大会で観客が多く集まるもので、誘導のテストを行いたい」と話した。

新木場駅のように、五輪・パラ以外のイベント会場が近くにある場合は、その会場ごとに個別に対応策を練るとした。交渉できるイベントについては、開催時間をずらしてもらうなどの対応も検討するという。

この日は雨天だったため、暑さ対策は検証できなかったが、運営スタッフにうちわや氷、飲料水、塩あめなどを配布。同一スタッフが長時間、暑い場所で作業しないよう、シフトを30分ごとにする運営上の工夫も試した。

また、B5サイズほどの体調管理シートを配布。「朝ご飯は食べたか」「よく寝たか」「深酒はしてないか」などの質問事項が記された朝のチェックリストや、活動中の体温や体重変化、水分摂取量が記入できる欄が設けられ、体調の自己管理をしやすくする試みも始めた。【三須一紀】