遠征先のマレーシアで交通事故に巻き込まれ負傷した、バドミントン男子シングルスの桃田賢斗(25=NTT東日本)が17日、入院先の病院を退院した。精密検査の結果、異常なしと診断された。同年齢で競泳男子の瀬戸大也(25)には「何とか大丈夫だよ」とLINEを送った。瀬戸を含め、大谷、羽生ら有力選手の多い94年生まれ。同世代の存在も励みに早期復帰を目指し、東京五輪金メダルへ再出発する。

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復帰に向けた大きな1歩になる。この日、桃田は都内の病院で午前中に精密検査を受け「異常なし」と診断され、そのまま退院。所属先のNTT東日本を通じて「心身の回復に努め、1日も早く元気なプレーをお見せし、支えてくださっているみなさまに恩返しをしていきたいと考えています」とコメントした。

遠征先のマレーシアで交通事故に巻き込まれて負傷してから4日が経過した。帰国した15日に、日本協会の銭谷専務理事からの指示もあり、全身の精密検査を受けるため即入院。関係者によると、会話は普通にできており、周囲に「心配かけて申し訳ない」と語っているという。検査の結果、内臓など外傷以外の不安はほぼクリアになった。

運転手が死亡した大きな事故。最大の不安はメンタル面だが、桃田には心強い味方がたくさんいる。同年齢の仲間たち、いわゆる94年組には、フィギュアの羽生、大リーグの大谷ら多数の一流アスリートがいる。かつて桃田も「彼らの活躍は刺激を受ける。特に大谷選手はすごい。感じ方や視点の違いなど聞いてみたい」と話すなど、刺激し合ってきた。

昨年末に出会って友人になったのは競泳の瀬戸。事故直前のマレーシアマスターズで優勝したときに「試合終わったよ」とLINEをし、「会おうぜ」と返信があった。突然の大事故で心配する友には「何とか大丈夫だよ」と連絡。この日、大会出場のため中国に出発した瀬戸からは「一緒に同じ色(のメダル)を目指してやっている仲。1日も早く良くなってほしい」と気遣われた。

今後は数日間は休養し、その後は状況を見ながら練習を再開。3月の全英オープン(11日開幕)での復帰を目指し、調整していく。同世代の仲間たちの励ましも力に変えながら、東京五輪金メダルへ、再び歩んでいく。【松熊洋介】