東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長(76)が28日、オンライン上で記者会見を行った。

国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長が22日、来夏に延期された東京五輪について今年10月までに開催可否を判断する必要がある、との考えを示したことについて「コーツ委員長に直接確認しましたけれども『開催の可否』という言葉は使っていないようです」と、まず火消しした。

続けて「個人的な見解を述べた、とのことでした。秋にかけて、来年の開催に向けた検討が進んでいく過程の中、さまざまな状況が明らかになっていく。コストの問題など、いま詰めていることも決まってきて公表される。それに加えて、新型コロナウイルスの状況も明らかになっていくであろうと。大会開催に当たって、どのような配慮が必要なのか、対策が必要なのか議論されるタイミング。それが10月。そして個人的見解、ということでした」と説明した。

具体的なタイムラインについては「公式に持っているわけではない」としつつ「暑さ対策と同じように、新型コロナ対策も考える必要がある」と明言。その考えを踏まえ「コーツ委員長が『開催の可否を10月に決める』と発言したと報道されたことに対しては、趣旨が違うと確認しました。そこは明確に申し上げたい」と否定した。

今月中に固まる予定も示唆していた、延期に伴うロードマップ(行程表)策定については「IOCと協議中。どのような検討項目が必要なのか、洗い出しを行っている最中。6、7月と続けていくことになる。項目について検討した後に第2フェーズへ入り、秋から年末にかけて、どのように具体化し、来年の開催に落とし込んでいくか(決まってくる)」と見通しを語った。

43会場の再確保については「個別に交渉しているところ。具体的に結論が出たところはありません。各会場との意見のすり合わせには時間がかかる」と従来の答えを繰り返した。

「来年の状況を踏まえ、各交渉先と慎重な意見交換をしていかないといけない」とも発言。「来年の状況」「慎重な意見交換」について、より具体的な内容を求められると「来年の状況は、新型コロナウイルスのことではございません。会場のこと。既に来年の予定が埋まっている会場があるので、その方々との話し合いを慎重にしたい。相手のあることで、五輪だから(また貸し出すことが)当然というわけにはいきません」と、誠実に交渉していく姿勢を強調した。【木下淳】