体調不良から前日3日のショートプログラム(SP)で566日ぶりの競技会復帰を果たした三原舞依(21=シスメックス)が、フリー「フェアリー・オブ・ザ・フォレスト&ギャラクシー」を初めて披露した。

「『滑り切れて良かったな』っていうのが、頭の中いっぱいにありました。(ジャンプ)構成を決めたのが滑る直前だったので、ジャンプの順番を間違えないかとか、コースを間違えないかを考えていました。最後まで滑り切れて、良かったです」

フリーは3位の113・69点を記録し、合計173・38点で3位。SP首位の坂本花織(シスメックス)が合計218・35点で優勝、同4位の河辺愛菜(木下アカデミー)が188・48点で2位に入った。

演技を終えた三原が、目を潤ませた中野園子コーチの抱擁で出迎えられた。

「戻ってきてよかったでしょう?」

三原の思いは、その通りだった。

「『本当に戻ってきて良かった』って思いました」

緑の衣装で臨んだフリー。冒頭の3回転ルッツ-2回転トーループ-2回転ループを着氷させ、ステップでは壮大な曲調に合わせて大きく体を動かした。終盤にルッツが2回転となるミスがあったものの「すごくホッとしている気持ち」と笑顔を見せた。

待ちわびたフリーの競技会お披露目だった。昨季に向けて用意していたプログラム。コーチから推薦され、世界的振付師のローリー・ニコルさんが振り付けた。ニコルさんは三原が憧れる浅田真央さんとのタッグで知られる。昨年5月、三原は思いを口にしていた。

「OKをいただけると思っていなかったので、先生からそのお話をいただいた時は、すごい驚きの方が大きくて。そういう機会をいただけるなら、しっかり成長して五輪につながるようにしていきたいなと思ったので。覚悟を決めて、という感じで。新しいものを引き出して、帰って来られたらいいなと思っています」

体調不良の影響で全試合欠場となった昨季。今季は温めていたプログラムを披露すると決めた。今年7月の全日本強化合宿では、曲に込める思いを明かした。

「ローリーさんにしっかりと教えていただいたことを、1つ1つ大切に。昨季(振り付けを)やってもらったので、しっかり思い出しながら、元気いっぱいに、最後まで一本調子にならないように、しっかり滑り込んでいけたらなと思います」

上位9人の西日本選手権(10月29日開幕、京都アクアリーナ)進出を決め、成長への意欲は増している。

「西日本までに本来の(ジャンプ)構成に戻したい。緊張した時も、どんなことが起きた時も、落ちついて。最後まで楽しんで滑れるように、毎日練習していきたいと思います」

この日抱いた思いを、次につなげる。【松本航】