フィギュアスケート界で屈指のサッカー通として知られる山隈太一朗(20=明大)が、大ファンと公言するプレミアリーグのリバプールについて語った。

本業では東京選手権を初制覇。前日10日のショートプログラム(SP)は57・66点の5位と出遅れたものの、フリーで全体トップの109・69点をマークし、合計167・35点で逆転優勝した。

表彰式後に行われたオンライン取材。フリー曲「ポルナレフ・ラプソディー」のテーマである「愛」について熱く語った後、レッズ(リバプールの愛称)への「愛」についても口を開かずにはいられなかった(念のため断っておきますが、当然、記者からの質問に応じたものです)。

現在、サッカー日本代表がオランダ遠征中。その10番を背負うMF南野拓実(25)が今季からリバプールでプレーしている。「この質問、うれしいですね」と頬を緩めながら「リバプールに日本人選手が行くって…かなりすごいこと。その分、競争は激しい。フィルミノ、サラー、マネは、けがをしない。長期離脱しないので、その中でチャンスをつかむのは本当に難しいと思います」。まずは、世界屈指の陣容を誇る前線と渡り合っている南野の現状を説明した。

山隈はDAZNに加入しており、日本時間の未明になることが多い試合も「朝練に影響のない範囲で」視聴しているという愛好家。「毎試合チェックしていますよ」と言うだけあり「チアゴが加わったことで、どうリズムが変わるか楽しみに見ています」と今夏、欧州王者バイエルン・ミュンヘンから加入したスペイン代表MFチアゴ・アルカンタラを挙げたり「最近(9月)また南野選手の競争相手が増えたんです」と、ポルトガル代表FWディオゴ・ジョッタの加入を紹介したり、かなり詳しかった。

その上で、やはり南野の活躍を願う言葉を続けた。定位置を争うライバルは強力だが「しっかり3人目の交代枠などで使われていますし、ゴールも増えてくるんじゃないでしょうか」と期待。そして「(システムが)4-2-3-1になった時、確実にトップ下で活躍してくれると思います。(オーストリア1部)ザルツブルクにいた時のようなプレーを見たいですよね」と思い描いた。

昨年10月の欧州チャンピオンズリーグ(CL)1次リーグが念頭にあるのは間違いない。ザルツブルク時代の南野が、リバプール相手に聖地アンフィールドで1得点1アシストした試合だ。その輝きを思い返しながら「本当に頑張ってほしいです」と、いちファンとして応援していくことを約束した。

取材の中で「実は、まだショックを引きずってるんです」と明かしたのも、前日5位に終わった自身のSPではなく、リバプールがアストンビラに2-7で大敗した試合のことだった。1試合7失点は1963年以来57年ぶり。とはいえ、ちょうど1週間前、今月4日の試合もしっかりチェックしていたなんて…。

南野がトップ下で先発した9日の日本-カメルーン戦も「見ました」。その中できっちり氷上に集中し、東京選手権で優勝してみせた。早朝からの練習、学業やトレーニングの合間に、サッカーを見て心を整えていたのか。ほとばしったリバプール愛。結果が出なければ語りづらいことも、表彰台の頂点からであれば多少は許される…はず。【前サッカー担当、現フィギュアスケート担当=木下淳】