日本代表歴代5位の75キャップを誇るSH田中史朗(35=キヤノン)が、4大会連続出場が懸かる3年後の「4強以上」に自信を見せた。

抽選会が行われた14日、日刊スポーツの取材に応じ、代表の精神面を「世界基準」と証言。「代表で戦いたい」と語る視線の先には、38歳で迎える大舞台がある。

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冷静な田中の口調に、代表のプライドがにじんだ。

「日本は負けてきた代表じゃない。メンタル、意識が世界基準ですし、大丈夫です。前のW杯(8強)を超えられる可能性がある」 

最前線で「世界」を感じてきた。今大会でシードを持つ日本以外の11チーム。16年以降のジョセフ体制下で、田中はその全てと戦った。18年に15-35で敗れたイングランドに対しては、SOファレルの存在感を挙げ「彼が次もキーマンになる」。指揮するのは、15年W杯で苦楽を共にしたエディー・ジョーンズ監督だ。

「エディーは相手の嫌なところを突いてくるのがすごくうまい。それを逆手に取れればいい。ジェイミー(・ジョセフ・ヘッドコーチ)が考えることに、僕たちがどれだけついていけるか。前回もどんなしんどいことにも、ついていけた」

アルゼンチンは11月にニュージーランドから初勝利。4年前の対戦から「FWにインパクトがあり、防御がすごく強い。そこは警戒しないといけない」と成長を実感する。厳しい組ではあるが、視線は前に向く。

「(両チームとも)強いチームだというのは、試合を見ていて分かる。『すごく楽しみな相手』ですね」

来年1月3日で36歳。だが、その情熱は衰えない。

「ラグビー選手として日本代表で戦いたい気持ちは変わらない。僕たちだけではなく、これから代表に入る選手も、自然と(23年W杯に)意識が向くと思う」

過去最高の8強で歴史を変えた昨秋。代表はたゆまぬ努力で、見る人の予想を覆してきた。また、新たな戦いが始まる。【松本航】

◆ラグビーW杯 4年に1度の世界一決定戦。1987年に16カ国・地域が参加して始まり、99年の第4回から出場枠が20に増加。19年日本大会はアジア初開催。23年フランス大会は第10回となる。優勝回数はニュージーランドと南アフリカの3度が最多。オーストラリアが2度制し、北半球勢の優勝は03年大会のイングランドのみ。優勝杯は競技の起源とされる人物に由来する「ウェブ・エリス・カップ」。