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今日のイベント

【大会】

全日本選手権

▼会場

長野市ビッグハット

▼種目

アイスダンス・フリーダンス(FD、午後3時半~4時15分)※競技時間は以下すべて予定

女子フリー(午後5時4分~同9時11分)


今日の1枚

日刊スポーツが蓄積してきた写真の中から厳選して紹介します。

2017年12月20日
2017年12月20日

17年12月、フィギュアスケート全日本選手権の開会式で、滑走順抽選を行った本田真凜(左)は最終滑走を引き当てておどけた表情を見せる。


今日の出来事

16歳の安藤美姫が全日本選手権初優勝。世界選手権代表にも初選出(2003年)

全日本選手権〈最終日〉

◇27日◇長野・ビッグハット◇男女シングル・フリーほか

ニューヒロインが誕生した。女子シングルで、16歳の安藤美姫(オリオンク)が初優勝を決めた。フリー演技で、世界でただ1人飛べる4回転ジャンプを成功させ、逆転で初の栄冠を手に入れた。世界選手権(3月、ドイツ)代表にも初選出。全日本ジュニアを制したばかりの高校生が一躍日本のエースになった。男子は今季限りで引退する田村岳斗(24)が6大会ぶり2度目の優勝を果たした。織田信長の末裔(まつえい)、信成(16)は5位に入った。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

場内からうなりのような歓声が響いた。空中で4回転した安藤がリンクにピタッと着氷した。「大きな大会で飛べてうれしい。自信につながる」。全日本選手権では史上初の4回転ジャンプの成功。世界でただ1人しか飛べない「神業」で初優勝を手に入れた。

鮮やかな逆転劇だった。ショートプログラムは2位。最終滑走のフリーに命運がかかった。同じ状況の昨年は4回転に失敗して5位。この日も冒頭でコンビネーションジャンプに失敗。重圧から弱気になってもおかしくない状況も、16歳は攻めた。「トライすることが今後のためになる」。後ろ向きのまま左足で踏み切ると、冷静に右足で氷の上に降りた。

優勝が決まった瞬間、安藤は号泣した。4連覇をねらった日本の第一人者村主に逆転勝ち。だが、うれし涙ではない。「(電光掲示板の)得点を見ている間、反省していた。ミスジャンプもあったし、途中でスピードも落ちた。まだまだなんで」。結果だけでは喜ばない。貪欲な姿勢、意識の高さに、大器の風格が漂った。

昨年12月のジュニアグランプリ(GP)ファイナルで、世界女子初の4回転ジャンプに成功した。それでも、まだ16歳のジュニア世代。今季はシニアの大会には出られず、ジュニアの大会に出場してきた。11月の全日本ジュニアでは4回転ジャンプを決めて3連覇、2週間前のジュニアGPファイナルでも優勝と実績を残した。佐藤信夫コーチは「この1年でジャンプはもちろんだが(スケート靴の)刃の使い方も進歩してきた。すごい能力、ただ驚くばかり」と成長を認めた。

4回転ジャンプは、今日決めたサルコー、トーループ、男子でも決めた人がいないループの3種類を練習では決めている。リンクでの存在感もあり、伊藤みどり以来の大物エースの期待が高まる。来年3月には初の世界選手権も待つ。それでも会見では「今は大好きな焼き肉を食べたい。早く家に帰りたい」と普通の高校生らしい一面も見せた。日本スケート界待望の若きエースが誕生した。