女子シングルスで連覇を狙う奥原希望(25=太陽ホールディングス)が決勝に進んだ。身体面のベースアップを図るなか、指輪型の健康管理デバイスを活用するなど意識を高め、山口茜(23=再春館製薬所)との頂上決戦に挑む。

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持ち前のフットワークを駆使し、奥原はコートを縦横無尽に動き回った。経験豊富な佐藤(ヨネックス)を2-0で退け、「大先輩に力をぶつけられた」。コロナ期間中にトレーニングを重ね、しっかり栄養を補給してきた。基礎体力アップの成果が表れている。長いラリーのあとも息は上がらない。第2ゲーム途中に倒れ込んだ相手とは対照的に最後まで涼しい顔でプレーし、「フィジカル面でプレッシャーをかけられていると実感している」。

10月のデンマーク・オープンに続いて今大会でも、左手中指に銀色のリングがきらりと光る。おしゃれのための指輪ではない。フィンランドのオーラ社が開発したスマートリングと呼ばれる最新機器で、体温や心拍数、就寝時におけるレム状態といった睡眠の質など、24時間常に測定し、スマホアプリと連動。NBAのバスケットボール選手らも使用する。

栄養管理などをサポートする味の素の上野祐輝氏(35)によれば、昨夏の世界選手権(スイス)決勝で敗れた奥原が「足が動かなかった」と吐露したことで、原因解明を決意。やはり左腕に巻くバンド型の心拍計測器と合わせて活用することで、「これまで見えなかった客観的データが見えてくる」とうなずく。

世界ランキング4位の奥原は、決勝で同3位山口と対戦する。「茜ちゃんのトリッキーなショットにどこまで自分が守れるか。盾と矛みたいな戦いになると思う」。激闘必至の一戦においても、身体が発する数値の変化を詳細に採取し、じっくり分析。東京オリンピック(五輪)に向けて活用していくことになる。【奥岡幹浩】