高校ラグビー界の名将、土井崇司氏(61)が校長を務める東海大相模(関東・神奈川)が、5大会ぶりの花園で好スタートを切った。前回の1回戦で惜敗した光泉カトリック(滋賀)に24-3と完勝した。

他のシード校では、関西学院(兵庫)が盛岡工(岩手)を43-0で下し、目黒学院(東京第1)と大阪朝鮮高(大阪第2)も初戦を突破。最多68度目の出場の秋田工や、中部大春日丘(愛知第1)と常翔学園(大阪第3)も2回戦に駒を進めた。

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前回出場した全国の舞台では、初戦で光泉カトリックに10-13と惜敗。因縁の相手との対戦にCTB吉田主将は「5年前のリベンジを果たす」と強い覚悟で臨んだ。前半11分にPGで先制を許したが、同16分にWTB樋川が突破して逆転。後半5分にはFW陣が体を張り、ロック飯泉がインゴールに飛び込んだ。さらに1トライを挙げて点差を広げ、先輩たちの雪辱を果たした。90年の第70大会以来、30年ぶりの白星だった。

勝利の裏に、心強いバックアップがあった。スタンドで見つめたのは、大阪・東海大仰星(現東海大大阪仰星)で監督、総監督を担い日本一を3回経験した土井校長だ。同校を離れ、17年に東海大相模に赴任し、今春から校長に。多忙な業務の中、ラグビー部の晴れ舞台に駆け付けた。「最初は夢の舞台に立ち夢見心地なかんじだったけど、玄人な見方で見ると安定感のある負けないゲームができた」と選手をたたえた。

土井校長は強化の一環で、昨冬まで全国大会の時期にはリーダー陣を大阪府内の自宅に泊まらせて「ラグビー漬け」の日々を送らせた。試合観戦した後は、東海大仰星の練習に加えた。1年前の遠征に参加していた吉田主将は「全国トップで戦うチームはAB関係なく、ピリピリした緊張感の中で練習していた」と、その後のチーム作りに生かした。

東海大仰星出身で土井校長の指導を受けた三木監督は「自分たちが気づけないことを指摘してくれる」と感謝する。ベスト16入りをかけて2回戦は山形中央との対戦。頼れる恩師のバックアップを受け、台風の目になりそうだ。【平山連】