スノーボード女子ハーフパイプ18年平昌オリンピック(五輪)代表の松本遥奈(27=クルーズ)は1年後の北京五輪へ向け、まだ完全に気持ちが固まっていない。10日、オンラインで報道陣の取材に応じた。北京の位置付けを問われると、思慮を巡らせながら、「まだオリンピックに出たいという感じではない」と言った。

続けて「今、自分が考えているのは、スノーボードを楽しくやること。いろんな方々にも「楽しいよ」という事を伝えたい。まだ、オリンピックに出たいとかは、そんなに思っていない」と口にした。

心境は揺れている。松本はトッププロが集まる冬季Xゲームのアスペン大会では2大会連続の銅メダルを獲得。若手の台頭が著しい中、まだまだ健在であることを示している。「自分が楽しいスノーボードをした結果、オリンピックの切符を手にすることが出来れば、出たいと思っている」とも語った。

小4からスノーボードで五輪に出るのは夢だった。それは6位だった3年前の平昌で達成した。ただ、夢をかなえる過程では、葛藤に直面した。「スノーボードの楽しさより、オリンピックに出たいというのが強すぎた。楽しさから離れていた」と振り返る。重圧、そして成績を求めるあまり、楽しいはずのスノーボードが、そうでなくなっていた。

近年、スノーボードは技の高難度化が進む。そして、難しいトリックを成功させなければ、五輪で上位に行くのは難しい。北京でメダルを狙うなら、苦手である縦回転も織り交ぜた技の完成度も上げることを、求められるかもしれない。演技力や完成度など自分の求めるスタイルよりも、技の難易度を優先させるのは、少し抵抗がある。また、楽しく滑ることができなくなるかもしれない。だからこそ、悩んでいる。

平昌五輪の後、第一線を退くことも考えたが、両親にも背中を押され、現役続行を決意した。そして「楽しいスノーボードをやりたい」と心に決めた。もちろん、五輪は多くの人に知ってもらえるチャンスで、他の大会にはない影響力があるとも分かっている。でも五輪には左右されない。自分の道を進み続ける。