大坂が“伝説”を撃破! 世界3位の大坂なおみ(23=日清食品)が2年ぶり2度目の優勝に王手をかけた。

18年全米決勝の再現で、4大大会23度の優勝を誇る“生きる伝説”、同11位のセリーナ・ウィリアムズ(米国)に6-3、6-4のストレート勝ち。今大会後に発表される最新世界ランキングで2位復帰も確定した。20日に予定されている決勝では同24位のブレイディ(米国)と対戦する。対戦成績は大坂の2勝1敗。

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“生きる伝説”に、世代交代を迫った。4大大会23度の優勝を誇るセリーナ。その歴史の重みが襲いかかったが、大坂はひるまなかった。「ネットの向こう側の威圧感は半端じゃない」。その重圧に耐え、ガチンコ勝負で完全にはね返した。

試合終了後、世代交代を悟ったかのようなセリーナから、そっと抱きしめられた。それにぺこりとお辞儀で礼を尽くした。「夢のような時間。現実じゃないみたい」とほほ笑み、セリーナを見送った。

第1セットの最初の5ゲームがすべてだった。大坂のサーブで始まった第1ゲームの第2ポイント。第2サーブで、セリーナがバックのリターンをたたき込んだ。「緩い球だと、やられてしまう。恐怖さえ感じた」。威圧感の恐怖からか、第1サーブが入らない。自分の最初の3度のサービスゲームで、第1サーブが入った確率はわずか34%。しかし、それを救ったのが、1年半ほど強化してきた第2サーブだった。

最初の3度のサービスゲームで、第2サーブは約5割の得点率を挙げた。特に、2オールから、絶対に落とせない自分のサービスゲーム。8本の第2サーブのうち、75%の6本を得点につなげた。0-2から3-2とリードすると、そのまま5ゲーム連取で、第1セット先取につなげた。

第2サーブは横、縦、斜めの3種の回転に、真ん中、外側、相手の身体の3コースを組み合わせる。9つの変化球。それを駆使し、セリーナのリターンを封じた。以前は球種が縦回転1種で、コースは2つ。バリエーションが増えた効果は大きかった。

4大大会準々決勝に進出後は、決して負けない。過去3度の決勝ももちろん無敗。「準優勝は誰も覚えていない。優勝者だけが記憶に刻まれる」。その決勝の相手は、昨年の全米準決勝で、激しい打ち合いで勝ったブレイディ。「最高の試合だったが、そこから成長した」。“伝説”から世代を受け継いだ大坂に死角はない。【吉松忠弘】

○…会場があるビクトリア州は、6日ぶりに感染症対策で州境を封鎖していたロックダウンが解けた。大会も、1日最大7477人までだが、12日以来の観客が戻ってきた。大坂はコートに入場したとき、会場全体を見回し「せっかくお客さんが戻ってきた。楽しんで、いい試合にしたかった」と、有観客に力をもらっていた。