18年平昌オリンピック(五輪)4位の宮原知子(23=木下グループ)が136・55点をマークし、前日首位発進したショートプログラム(SP)の72・30点との合計208・85点で初優勝した。

これまで国内での活動は出身の関西が軸で、今季は拠点のカナダに戻れなかった上、関大を卒業して所属が木下グループだけになったため、東京選手権に出場した。結果、全日本選手権4連覇など数々の実績を持つ宮原にとって「初の東京女王」となった。

深紅の衣装で「トスカ」を舞ったフリーではトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)挑戦を回避。ダブルにとどめて演技をまとめ、唯一の200点台でオリンピアンの貫禄を見せた。冒頭の3回転ルッツに付けるトーループが2回転になるなど反省点はあったが、ミスが続出した前週のジャパン・オープン(JO)から演技を立て直した。大会が違うため単純比較はできないが、1週間前の119・69点から16・86点アップとスコアを引き戻した。

3回転半の回避が結果に直結している。「自分の見せたい滑りがトリプルアクセルを入れたことで落ちてしまった感覚があって。もう1度、思い切ってアクセルなしで滑りに集中しようと思って」と挑戦しなかった理由を説明。乱れたジャンプ、崩れた表現を従来に戻して国内調整を終えた。

次戦は2週間後だ。自身2季ぶりとなるグランプリ(GP)シリーズの第1戦スケートアメリカ(22~24日、ラスベガス)に出場する。「緊張はすると思うんですけど、今まで以上に楽しみな気持ち。楽しむことを忘れず、大きく滑ることを忘れないようにしたい。どの試合も心掛けていきたいことなんですけど、のびのび楽しんで。GPシリーズということで久々の海外なので、試合に出られるうれしさを感じながら頑張りたい」と抱負を口にした。 3回転半の再挑戦については「今後の試合に入れるかどうかは…。まだ諦めてはいないんですけど、ひとまず自分の調子とか状態を見て決めていきたい。入れることで、どうしても他のジャンプに影響が出る。硬さが出て、自分らしい伸びがなくなる原因になると思うので」と慎重な姿勢を見せていた。【木下淳】