18年平昌オリンピック(五輪)銀メダルの宇野昌磨(23=トヨタ自動車)が初日の練習を終え、今季再挑戦中の4回転ループなどを試した。

練習後、国内外メディアの取材に応じ、今季からフリー曲「ボレロ」に組み込む4回転ループの現状を説明。「日本でやってきた練習が、現地に着いてからやった練習でそのまま出たかな。着氷っぽいものはしたんですけど、良くはなかった。僕の4回転ループは、自分が跳んでいるジャンプの中でも質のいいものが跳べるジャンプ。跳べた時はもっといいものにできると思います。今日は踏み切った時に失敗したなと思ったんですけど、踏みとどまれた。試合だったら及第点ですけど、練習なのであんまり。成功率は5割あるかないか」と振り返った。

2季ぶりのGPシリーズ参戦。「大会で海外に行くのが懐かしい感じがして、出発前はすごくワクワクした気持ちで。今は試合に向けて楽しみな気持ち。練習してきたものを少しでも見せられたら」と生き生きした表情を見せた。

世界選手権3連覇中のネーサン・チェン(22=米国)との対決には、引いた姿勢を強調。「ネーサン選手の今の出来は知らないですけど、僕の今の出来では戦いになる選手ではないかなと。可能性はあるかもしれないけど、あくまで可能性なので。ネーサン・チェン選手のすごいところは、僕が今やろうとしている構成を安定してやっているところ。僕は、きっとできたとしても偶然。なので、そんなに意識できる立場ではないのかなと思っています」と淡々と答えた。

22年北京五輪シーズンの本格的な幕開けとなる今季初戦だが「五輪シーズンだからとか考えてないです」とあっさり。一方で「自分の出来、スケートに対する気持ちが今まで以上に強くて、シーズン序盤にして、ちゃんと1日1日、毎日成長できる練習を送れています。自分でも高望みできる練習、調子にあると思う。これまでよりは試合で今の自分を知りたい、皆さんに見せたい、という気持ちがある。今までとは違うかな」と言った。

「正直、大会でいい演技をしたらうれしいですし、良くない演技をしたら悲しいですけど、そんなに目標とかゴールとか、大会に向けては、今年はあまりまだ考えていなくて。試合での自分にもそこまで期待していないので、成功するにしろ失敗するにしろ、現実を受け止め、どう日本に持ち帰って成功率、完成度を上げた状態で試合に取り組めるか。それが今、考えている方針です」とスタンスも明確にした。

男子SPは日本時間の23日午前11時25分から、フリーは24日の午後0時10分から行われる予定となっている。【木下淳】