フィギュアスケート男子の冬季五輪2連覇王者で、右足首を負傷している羽生結弦(26=ANA)がグランプリ(GP)シリーズ最終の第6戦ロシア杯(26~28日、ソチ)も欠場することが17日、日本スケート連盟から発表された。第4戦NHK杯(東京)に続く欠場。22年北京オリンピック(五輪)の日本代表選考に関わるGPシリーズ全休となったが、この先はどうなるのか。選考基準と羽生の現状を整理した。

羽生は明言していない。94年ぶりの3連覇が懸かる北京五輪を目指すかどうかを。一方でロシア杯の欠場も決まり、関心は移る。五輪に出られるのか。仮に、右足首の回復が遅れて五輪代表の最終選考会となる全日本選手権(12月22~26日)に出場できなかった場合だが、日本スケート連盟の竹内洋輔フィギュア強化部長は明言する。「選考の土台からは落ちません」と。

羽生の現状はこうなっている。まず選考基準。男子3枠は以下の順に決まる。

(1)全日本の優勝者が1人目(2)全日本2、3位、GPファイナル出場者の上位2名、国際スケート連盟(ISU)シーズン最高点の上位3名の中から2人目(3)最後に(2)で漏れた中から世界ランキングなどを総合的に判断して3人目を決める。

羽生が全日本で優勝すれば文句なし。出なければ(1)を満たさない。(2)も全日本に出なければ満たさない。NHK杯、ロシア杯ともに欠場=GPファイナル進出もなく、年内のISU最高点は「記録なし」となる。(3)の世界ランキングも現在3位。今季開幕前は1位だったが、GPシリーズに出なければ必然的に下がる。

それでも、羽生が北京五輪代表の選考対象に入っているのは過去の成績があるからだ。全日本出場は必須だが「世界選手権3位以内」など実績を持つ選手が負傷等でやむなく参加できない場合の救済措置がある。

この「3位以内」は「直近の成績ではなくキャリアを通して」(日本連盟)。羽生は、直近だとしても今年3月の世界選手権で3位に入っており、通算でも14年と17年に2度の優勝を誇る。2位3回、3位2回と計7度も表彰台に立った。

竹内強化部長も「前回の平昌五輪もNHK杯(の公式練習)で負傷し、全日本を欠場した。4年前の経験もあるし、しっかり回復してくれれば競技力を戻してくれると信じている」と全幅の信頼を寄せており、最悪の場合も候補にはなる。

全日本まで1カ月強。徐々に練習を再開できるようになったといい、全日本で復帰する可能性はある。仮に出場できなくても五輪代表の候補として選考はされる。あとは大舞台を目指すかどうか本人の決断次第となってくる。【木下淳】

<羽生コメント発表>

羽生は、日本連盟を通じて「右足関節靭帯(じんたい)損傷の回復が遅れているため」とロシア杯の欠場理由を発表した。続けてコメントも出し「応援してくださり、本当にありがとうございます。応援の声や想いに応えられるよう、全力で頑張っています。動きによっては痛みが出てしまいますが、日常生活では、痛みの影響がなくなってきました。まだスタートラインにはたどり着いていませんが、着実に前に進んでいきます。これからも、よろしくお願いいたします。がんばります」(原文まま)と今後への抱負をつづった。