【グルノーブル(フランス)21日=松本愛香通信員】フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦フランス杯の男子で完全優勝した鍵山優真(18=オリエンタルバイオ/星槎)が、一夜明けて現地記者団の取材に応じた。

第3戦イタリア大会に続いて2連勝。全体トップで初の進出を決めたGPファイナル(12月9~12日、大阪・東和薬品RACTABドーム)への決意は?

新技4回転ループの最新習得状況は?

なぜ試合では難しい?

表現を磨くための「陸トレ」とは?

リンク外で「即興でやっている」こととは?

同期で親交の深い佐藤駿(17=フジ・コーポレーション)とのオフアイスは?

「息、切れちゃう」と笑った理由は?…

会場だけで語った一問一答の一部は以下の通り。

-気持ちは、もう次に向いているか

「はい。ファイナルで、どう戦っていけるか。その次のプランを、早く(シリーズ2戦では回避した4回転)ループ練習したいなっていうのと、あとは、もっともっとジャンプの安定性だったり。まあ、隔離期間は駿と一緒なので、駿といろいろ見ながら、ジャンプどうやったら安定させられるんだろうっていうのを、早く勉強して自分のものにしたいなと思っています」

-4回転ルッツも練習しているのか

「いや、ルッツはやってなくて。シーズンに入ってからループがなかなか安定しなかったから、ループしかやる時間がなくて。まあルッツはちょっと…まだやってないです」

-では、GPファイナルではループを入れるのか

「はい、ファイナルはループですね」

-練習での手応えと曲の中でのループは違うか

「微妙…(笑い)。その微妙っていうのは、自分がサルコーとかトーループみたいに、安定させて曲で跳べるかって言われたら、まだ微妙なところがあって。その、単発だと降りられるところはあるんですけど、やっぱり曲になると、リズム感だったりが変わってくるので。自分のタイミングで跳ぶことができなくて、ちょっとズレちゃうかなっていうのがあって、はい、まだ微妙かなっていう感じです」

-前日の記者会見で「表現力をもっと磨いていきたい。それは氷上でも陸上でもトレーニングできるから」と話していた。陸上でのトレーニングとは

「陸上だと、ん~表情が一番簡単かなって。まあ、いつでもどこでもできるから(笑い)。ふふ、変な人じゃないですよ。音楽を聞きながら、これはどういう表情が似合うのかな、みたいな。自分の音楽だけじゃなくてもいいんですけど、まあ、いろんなジャンルを聞いて、どういう表現、どういう表情が合うか。自分はその曲で滑った時にどういう表情で滑りたいかっていうのを想像しながら、何か動いたりしてます。すごくいいトレーニングになります」

-昔からやっているのか

「僕は音楽を聴いて、すごい感じたりすることが大好きなので。そういうところは、何か小さい頃からやってるから」

-想像している時は1人で鏡の前で?

「ははは。勝手に…何かステップ踏んだりとか。はは」

-自分の部屋で?

「例えば表情の場合は、自分の練習が終わった時とかに、自分で気に入った時にはステップ作ってみたり(笑い)。何か勝手に、ふふ、即興でやってみたりとかして…何か遊んでます、ははは」

-プログラム風ではなくて

「あ、なくて。ホント適当に。本当に適当にやってて、でもそういう遊びが積み重なると、いつかは自分のものになるかなと。その例でいくと、僕はスピンの反対回りを小学生のころからずっと遊びでやってて、今は結構、回れるようになってきました。それが、すごくいい例かな(笑い)」

-今後はアクションを入れる考えは?

「いつかはやってみたいなっていうふうに思ってます。毎回毎回、ほぼ同じスピンやってるから。こう何か印象に残るものをやっておきたいな、っていう風には考えたこともあります」

-10月中旬の北京オリンピック(五輪)テスト大会アジアンオープントロフィー(中国)以来となる佐藤選手との海外遠征。練習や試合以外の、氷の外での会話や一緒の過ごし方は

「あんまりスケートの話はしないですね。今大会だと、同時に日本で全日本ジュニアをやっていたので『誰々どうだった』とか『誰々すごかったね』とか。例えば、佳生君、三浦選手が優勝した時とか『逆転優勝すごいな』とか(笑い)。そんな話をしたり。あとはゲームの話とか、ははは」

-2人とも好き?

「はい。アニメとか漫画がお互い好きなので、そういうものを話したりとか」

-三浦選手の話が出たが、全日本ジュニア選手権でSP7位から逆転優勝。同じくSP7位から制した鍵山選手のGPイタリア大会を「参考にした」と日本で話していた

「ははは。いや、分かんないですね(笑い)。何か自分の中でもあのイタリア大会は、ショートから巻き返せると思ってなかったので。ああいうこともあるんだなっていう感じでした。これから、どこかの舞台でまたショートが悪かったとしても、諦めない心が大事だなっていうふうにすごい思いました」

-GPシリーズ2連勝でファイナルへ。その先の北京五輪に向けた自信は

「うーん。今は何か五輪に向けて戦えるかどうかと言われたら、まだそんなに自信がなくて。やっぱりまだ2試合ですし、これから戦っていくってなっても、やっぱり(4回転)3本目が必須になってくるから。そこは早くループを安定させて入れたいなって気持ちと、あとは、うーん、まあステップでも小さいレベルを落としてしまっているので、そこはまだ。何か、いい具合に力を抜きながらステップをうまく見せられれば。全力でやる…毎回全部を全力でやると、やっぱりどっかで力尽きてしまうので。どっかで息を整えながらステップ、自分の場合は途中のステップで息を整えるんですけど、そこでキレイに見せて、レベルをしっかり取りたいなというふうに思います」

-全力でやると息が切れてしまう

「息、切れちゃう(笑い)。試合だとどうしても力が入ってしまうので、そこは、ジャンプもそうですけどステップも、ついつい気合が入っちゃって。先のことを考えず、ただ目の前のことを全力でやっていく感じなので。そこは冷静に演技の全体を見ながら、やっていきたいなと思います」