スピードスケート女子で18年平昌五輪500メートル金メダリストの小平奈緒(35=相沢病院)が現役引退を表明した。12日に長野県内で会見を行い、10月に地元の同県で開催される全日本距離別選手権の500メートルを現役最後のレースにすると宣言した。

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06年から国際舞台に立ち、長く世界のトップスケーターとして活躍。数々の偉業を残してきた。

会見では4大会出場した五輪について聞かれ、「簡単には言葉にはできないな。五輪という存在がすごく、4回とも五輪とはなんなんだろう、スポーツとは何なんだろうと考えさせてもらえる機会だった」と振り返った。

最後の五輪となった2月の北京五輪では、直前に負った右足首の捻挫の影響で、500メートルで17位、1000メートルで10位に終わった。

「バンクーバーは成長、ソチは屈辱、平昌はまた成長と言わせてもらいましたが、今回の北京五輪はなかなか言葉が見つからない」。

いまも表現を探しているという。その中で続けた。

「ただ、いろんな方からお手紙をもらったり、それぞれの人生観を通して、五輪で滑る姿を見ての思いを伝えてもらったときに、五輪は結果がすごく大事にされている大会だと思うんですけど、私にとっても受け取ってくださる多くの方にとっても、今回の五輪はスポーツのまた違った一面が見られたと思う。受け入れるにはたくさんのエネルギーを必要とするんですけど、人としていろんな思いを巡らせることができた。それが今回の五輪だったと思います」。

滑ることで、少しでも何かを伝えることができた。結果を残し続ける中で、結果ではない価値を見いだせた大会になった。