先月のプランタン杯(ルクセンブルク)で優勝した渡辺倫果(19=法大)は59.96点の11位で出た。

ジャンプは冒頭のダブルアクセル(2回転半)と3回転ルッツ-3回転トーループを決めて上々の滑りだしだったが、最後の3回転フリップでミスが出る。「左に体が回り込んでしまって跳べなかった」と1回転になってしまい、演技が終わると、思わず「やばい!」と悔しがった。

「落ち着いて試合に入れて。ルッツトー自体は良かったんですけど、フリップで失敗してしまいました。(フリーでは)このSPで大きな点差が出てくると思うんですけど、死ぬ気でやるつもりで」

そう切り替えた通り、当初の目標だった「表彰台」の望みは捨てず、フリーへ向かう。首位とは12.54点差、メダルが懸かる3位とは6.32点差だ。

「意地でも勝ちにいくつもりで。今大会どれぐらい通用するか分からなくて、表彰台を狙いつつ、あまり意識せず、でも視野に入れつつ、という感じだったんですが、この点差は大きいと思うので。フリーで挽回して、できる限り上の順位を狙いたい」

また、今大会前に突如、浮上していた愛猫の“命名問題”も解決した!? 模様だ。昨年末から自宅で猫を飼い始め、世界ジュニアの当初の開催地だったブルガリアの首都「ソフィア」と名付けていた。

しかし、今年に入って開催都市がエストニアのタリンに変更。まさかの展開となったが「呼ぶ時はソフィアとかソフィーなんですけど、フルネームはソフィア・タリン・トンディラバ・渡辺なので大丈夫です。トンディラバは、この(タリンの)アリーナの名前です」と“リカバリー”してみせた。

翌17日(日本時間の同日深夜終了)に行われるフリーでは大技のトリプルアクセル(3回転半)に挑む。冒頭に組み込むか聞かれると「はい」と即答。現地に入ってからの感触も良く「アクセル自体は、いいものになっています。あとは試合で決めるだけ」と自信を見せた。

国際スケート連盟(ISU)非公認ながら昨年末の全日本選手権では成功し、先月のプランタン杯では回転不足の判定だった。公認大会では初の成功を目指して、愛する猫の名のアリーナで巻き返す。【木下淳】