フィギュアスケート男子で初の世界王者に輝いた宇野昌磨(24=トヨタ自動車)が「NEW SHOMA」で新シーズンに向かう。26日は愛知・豊田市役所を訪れ、所属先や練習場がある同市のスポーツ栄誉賞を受賞。来季のショートプログラム(SP)はステファン・ランビエル・コーチ(37)と作成し、フリーは宮本賢二氏(43)が手掛けると明かした。北京五輪銅メダル2個、世界選手権で優勝へ導いた2人とのタッグを継続し、技術、表現面ではさらなる高みを目指す。

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4年ぶりに手にした表彰状を持ち、宇野はさわやかに笑った。「今までスケートをやってきた中で、一番濃い1年だった。堂々とした気持ちで、ここに立っているかなと思います」。北京五輪では個人、団体で銅メダルを獲得し、世界選手権初優勝と突っ走った。太田稔彦市長(67)との歓談では思わず本音が出た。

「やはり僕も人なので、欲が出てしまう部分がある。今までは1位になれていないので、僕なりに頑張っても『おめでとう』という言葉だけじゃなかった。今回は全ての人に『おめでとう』という言葉をいただけました。また来年『これ以上の存在になりたい』と思うのが正直な気持ちです」

休む間もなく、7月からの新シーズンへ動いている。今月はアイスショーを終えるや拠点のスイスに渡り、ランビエル・コーチと新SPの振り付けを終えた。「直近のアイスショーでやると思う」と29日開始のプリンス・アイス・ワールド横浜公演での初披露を示唆し、イメージに言及した。

「同じ曲や方向性ばかりをやっていると、同じ動きしかできなくなる。言葉で表すのが難しいけれど、少し大人っぽい。違う自分を見せられたらと思います」

新たな挑戦は盤石の体制が支える。フリーは「おそらく宮本賢二先生」と明かし、今季からSPとフリーの振付師が入れ替わる形となる見込みだ。新型コロナウイルスの終息が見通せない中で、フリーは国内でこまめに振り付けの手直しができるのも利点。自らの特長を深く知る2人とタッグを組み、宇野の情熱も衰えない。

「五輪で優勝した(米国の)ネーサン・チェン選手は、今のフィギュア界で頭一つ抜けていると思う。そんな彼のような存在になるのが今の目標。挑戦し続けている時が一番成長すると思うので、もっともっと上を目指していきたいです」

自らの可能性を、どこまでも追求する。【松本航】