【パリ29日=吉松忠弘】プロ野球DeNAベイスターズなどで活躍し、名球会入りした、DeNA石井琢朗野手総合コーチの次女、石井さやか(16=HSS)が4大大会にデビューを果たした。

ジュニア世界45位の石井は、同14位で第12シードのダウブロネバ(スロバキア)に挑んだが、4-6、5-7で敗れ、ほろ苦いデビュー戦となった。

相手とは、今年のジュニア世界ツアーで1勝1敗。同い年とあって、石井も「ライバルです」という相手だ。石井は、両セットともにリードを奪った。特に第2セットは5-2リードで、3本のセットポイントがあったが、「ちゃんと取り切れなくて、相手に自信を与えてしまった」と、逆転を許した。

試合前に、父からLINE(ライン)で「がんばれよ、応援してるよ」と激励のメッセージが送られてきた。そして「正座してみます」と、ネット前で父は正座すると話していた。母詩織さんは、この日パリに到着予定だったが「負けちゃった」と、石井は苦笑いだった。

5歳で始めたテニスは、昨年、15歳で全日本ジュニア18歳以下を制し、日本ジュニアNO.1となった。16歳ながら、父譲りの173センチと長身で「ストロークの球の重さ、スピードは負けていない」と、父の現役時代の“マシンガン打線”ならぬ、“マシンガン”ラリーが武器だ。

昨年9月から、錦織圭が拠点とする米フロリダのIMGアカデミーに留学し、本場で腕を磨く。「トレーニングの強度が高くなって、課題にフォーカスできて自信になっている」。今年から、徐々に一般の大会にも出始めた。

小4の時に、初めてウィンブルドンを観戦した。観客として、チケットを買うため、テントを張って、徹夜して名物の列に並んだ。その時、日本男子ジュニアNO.1だった綿貫陽介の試合を見た。「ここでジュニアもプレーできるんだ」と思った。

聖地のセンターコートで、レジェンドの試合も見た。「その時、初めて、ここでプレーしたいと思った」。この日、ジュニアとは言え、4大大会の会場に選手として初めて足を踏み入れた。「皆に応援される選手になりたい」という。

3歳年上の姉はる佳さんも元テニス選手。2人の名前は、母詩織さんがクリスチャンのため、賛美歌から名付けられたという。「さやかは、優しい子みたいな意味らしいです」。まだ16歳。トレードマークの優しい笑顔と明るい性格で、この日を、世界に必ず羽ばたく1歩にする。

◆全仏オープンテニスは、5月22日から6月5日まで、WOWOWで全日生放送。WOWOWオンデマンドとテニスワールドでライブ配信される。

【関連記事】テニスニュース一覧>>