谷川兄弟が、19年世界選手権以来、2度目の兄弟同時代表に1歩前進だ。兄で21年東京オリンピック(五輪)団体銀メダルの谷川航(25=セントラルスポーツ)は、代表選考の貢献度を4種目で上積み。弟の翔(23=セントラルスポーツ)も1種目で上積みした。航が「だいぶ(代表に)近づいたかなというより、堅くなった」と代表入りを確信すれば、翔も「お兄ちゃん、待っててね」と、代表入りを追いかける形だ。

10月開幕の世界選手権(英リバプール)の代表には、まず21年東京五輪個人総合金の橋本大輝(20=順大)が決定。4月の全日本総合、5月のNHK杯の得点合計で、神本雄也(27=コナミスポーツ)、土井陵輔(20=日体大)の2人が決まった。

今大会では、残り2枠を争う。すでに決まった3人が苦手とする種目を補う貢献度が得点化され、3人とともに5人でチームを戦ったときに、ベストな点が出せる2人を選ぶ。チームの課題は、「つり輪とあん馬」(水鳥男子強化本部長)だ。その2種目が得意な選手が有利となる。この日、航はつり輪、翔はあん馬の貢献度を上乗せし、日本チームの課題を補うのに十分な演技を見せた。

2人そろって出場した最初で最後の19年世界選手権は、嫌な思い出として残る。団体総合は、ロシア、中国に敗れ銅メダル。個人種目では、メダルを1つも取れなかった。「2人ともあまりいい試合の感じじゃなかった。そこの悔しさがある」(航)。その雪辱を果たすためにも、絶対に兄弟で代表をつかみ取る。【吉松忠弘】