フィギュアスケートのアイスダンスで3季目を迎える村元哉中(かな、29)高橋大輔(36)組(関大KFSC)が25日、今季初めて演技を披露した。

KOSE新横浜スケートセンターで行われたアイスショー「フレンズ・オン・アイス」の公開リハーサルに出演。ショーナンバーを舞い、ラテンがテーマとなる今季のリズムダンス(RD)を発表した。昨季は世界選手権に初出場。熟考の末に現役続行を決断した「かなだい」が、新たな1歩を刻んだ。

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ピンクの衣装でそろえた「かなだい」の再スタートは笑顔だった。選曲はアイスショー用の演目「ラヴ・ゴーズ」。リフトを織り交ぜ、氷に倒れ込む振り付けで演技を終えると、観客の大きな拍手に包まれた。村元は26日から3日間の本番を見据え「いいスタートが切れたらいいなと思います」とシーズンを意識した。

高橋は慣れ親しんだ舞台から、今季のスタートを切った。06年トリノ五輪金メダル荒川静香さん(40)を中心に「フレンズ・オン・アイス」が産声を上げたのは06年。当時20歳でシングル選手として出演し、あれから16年が経った。立場はアイスダンス選手。昨季は北京五輪代表1枠入りこそ逃したが、4大陸選手権2位、世界選手権もカップルとして初出場と飛躍した。

アイスダンス転向当初の目標は北京五輪だった。2シーズンを駆け抜け、3月の世界選手権後には「気持ちにバケーションをあげて考えたい」と口にした。5月に現役続行を宣言。拠点の米国で新シーズンに向けて始動し、この日、今季の新たなRDを「Conga and Rhythm is Gonna Get You」「Ahora」「Move」と発表した。

3日間の本番で初披露するRDは村元を中心に選曲し、ズエワ・コーチらと作り上げた。テーマはラテン。そしてユニークという。

高橋 なかなか速いテンポで、振りを落とすのに時間がかかりました。完璧にできれば、とてもかっこいい。僕たちらしさを(演技の)スタートから出せる。

村元 見たことがないラテンのプログラムを作りたかった。冒頭のダンスから、最後に駆け抜けていくステップまで見どころです。

10月21日からグランプリ(GP)シリーズ第1戦スケートアメリカ(ボストン)を控え、シーズンは本格化する。今季最大の舞台は来年3月、さいたまスーパーアリーナで行われる世界選手権。こだわり、磨いた先に、きっと未知の景色が広がっている。【松本航】