女子の18年グランプリ(GP)ファイナル女王で、昨季は右足首疲労骨折のため全休した紀平梨花(20=トヨタ自動車)が2季ぶりに競技会復帰した。

昨年4月17日の世界国別対抗戦(大阪)フリー以来525日ぶりの実戦で56・69点の6位発進。高難度ジャンプを封印して完治と12月の全日本選手権(大阪)出場を狙う。北京五輪に出た河辺愛菜(17)は4位、松生理乃(17=ともに愛知・中京大中京高)が首位通過した。

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紀平が帰ってきた。ダブルアクセル(2回転半)から3回転サルコー-2回転トーループ、最後は3回転トーループを着氷。うち単発2本は出来栄え点(GOE)0・00の加点なしが現状を物語る。それでも笑顔だ。右足に亀裂が走った昨季のような無理はしない。

「3回転の練習を始めたのが1週間前。その割には跳べて良かった。点数計算すらしていなかったので何点を狙えばいいんだろうと(笑い)。ひとまず大きなミスなく終われて、次につながる演技はできたかな」

20人中6位。覚悟の上だった。SPの自己ベストは世界歴代3位の83・97点を誇るだけに「見慣れない数字でガックシきた」と苦笑いしつつ「完治を優先」した。本来は3回転半も4回転サルコー(フリー)も跳べるが、完調へ我慢した。

「足のことを考えれば出たくなかったけど(出場しないと権利を逃す)全日本を捨てるのは、ちょっと無理と思って頑張りました」

昨季は右距骨の疲労骨折で全ての競技会を欠場。3連覇が懸かっていた全日本や夢の北京五輪を逃した。まずは全日本へ再び、が目標。その予選が昨季全休で免除にならなかったため、今大会への出場が必須だった。シニア転向後では初の地方大会から再出発した。

足のヒビは先月、昨年の最悪期の約5分の1まで小さくなった。25日のフリーも「3回転は1種類かな。悪化させずに無事に。全日本に行って上位に入って、また世界選手権や4大陸選手権に出たい」。そして26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪へ。一昨年まで全日本2連覇の紀平が、ジュニア時代の17年以来となる50点台から再起の1歩を踏み出した。【木下淳】