今季から拠点を移す江川マリア(18=明大)が初優勝を飾った。

ショートプログラム(SP)1位から、フリーでも1位の123・22点、合計187・58点で完全優勝した。

「本当にいま自分がどのくらい成長できてて、というのが実感できてなかったんですけど、ブロックで完璧な演技で120点くらいかなと。ちょっとミスがあってもこのくらいの点数を出せるのは自信につながりました。完璧な演技をしたいので悔しさはあるんですけど、いい自信になりました」。

前半のジャンプは予定通りに決めていったが、後半にループが抜けて1回転になった。先に立つのはその悔しさだが、同時に大きな収穫もあった。「レミゼラブル」の演目で3つのスピンは全てレベル4を獲得し、取り組んできたつなぎの部分でも丁寧な滑りを披露した。

全国高校スケート選手権の女子で3年連続表彰台の実績を持つ。福岡市唯一の常設リンク、パピオアイスアリーナで育ったが、昨年から営業が停止され、存続できるかどうか不透明になった。

「(閉鎖中は)3つのリンクを転々としていました。朝早い練習、夜遅い練習などで、家から近くないので」。

拠点を失い、確保できる練習時間にも制約があり、移動時間も一苦労だった。

「私だけではなく、親も苦労して送り迎えをしてくれて、感謝しないといけない1年でした」

ちょうど大学進学を考える時期。再び中庭健介コーチに師事し、千葉・南船橋のMFアカデミーを拠点に活動することを決めた。明大への入学も決まり、新たな環境に身を置いた。

このほど、行政の支援も受け、パピオアイスアリーナの再開が決まった。

「去年閉まっている間は、いろんな話を聞きました。現実的じゃないとも聞いていたので、本当に素直に、1年間、こうやって私も他の福岡のみんなも苦労していたので、本当にうれしかったですね」。

優しくほほ笑んだ。育ての地への感謝も忘れない。

「自分の中でまだ優勝できるレベルではないと感じてしまっている部分あり、あまり自分を低く見るのは良くないかなと思っているんですが、1位になれて自信がついた。もうちょっと自分を高い目標を持とうかなと感じました」。

築いてもらった礎を支えに、新たな環境で開花させていく。【阿部健吾】