NBA4年目を迎えたウィザーズの八村塁(24)が日本開催のオープン戦2試合を終えた。

凱旋(がいせん)試合で見せた八村のプレーや今季のポイントについて、NBAコメンテーターの塚本清彦氏(61)に聞いた。

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第2戦で八村が、守備力の高いウィギンズからタフショットを決めたシーンには目を見張った。2試合を通じてコンディショニングは非常に良さそうだと感じた。高校時代から休みなく走り続けてきただけに、初めてちゃんとしたオフシーズンを取れたことで、心技体すべてでコンディションが整っている。日本のファンの前でプレーできる喜びも相まって、1つ1つのプレーにやる気がみなぎっていた。

睡眠時間をしっかり確保し、身体強化にも精力的に取り組んだという。その効果で、体もひと回り大きくなったのではないか。今季はルーキー契約の最終年。次のステップに向けても重要な1年となる。クーズマ、アブディア、バートンなど、同じポジションには強力な選手がそろっており、チーム内の競争は熾烈(しれつ)だ。米国に戻ってからプレシーズンゲーム(オープン戦)は2試合が残っているが、そこでどう使われるかはアンセルド監督の考え方次第。しっかりアピールしていくことが大切だし、いまの八村はそれができる状態にある。

昨季の3点シュート成功率はキャリア最高の44・7パーセントをマークした。もともとミドルレンジのシュートは得意で、コンスタントに2桁得点を挙げる力は示している。となれば、より成長が求められるのは守備。チームのルールに則しつつ、1対1のスキルや、オフボールでの動き方など、さまざまな面で総合的な守備力を上げていくことが必要となる。

試合が行われなかった土曜夜のイベントも含めて、3日連日で約2万人の観衆が会場に詰めかけた。八村だけに声援が集まるのではなく、王者ウォリアーズの選手たちも熱い視線を浴びていた。中でもスーパースターのカリーの存在感は大きかった。試合のない日の慈善イベントなど、スーパースターはコート内外で日本の子供たちに夢を与えていた。今回の日本開催は大成功だった。

◆塚本清彦(つかもと・きよひこ)1961年(昭36)2月26日生まれ。兵庫県出身。育英高から明大卒業後、日本鋼管に入社。ポジションは主にポイントガードを務め、日本リーグ優勝2度、93-94シーズンにベスト5。96年引退。明大、法大の監督を経て、現在はテレビやインターネット放送でNBAやBリーグの解説を行う。