初出場の中村俊介(17=木下アカデミー)が3位発進した。74・81点を記録し、首位のブルサード(米国)と6・30点差。すがすがしい表情で「今シーズン一番(のSP)。『絶対にノーミスしてやろう』と思っていた。この大舞台でノーミスができて、すごくうれしいです」と振り返った。

失意の昨冬から自らを奮い立たせた。21年12月、ジュニアからの推薦で出場した全日本選手権は25位。フリーにさえ進めなかった。指導を受ける浜田美栄コーチに「ここで気づかなかったダメだよ。もったいないよ」と告げられた。練習不足を自覚しながら目を背け、歩んできた結果だった。

迎えた22年。1月から練習量を2倍に増やした。ジュニアGPシリーズ第1戦フランス大会で優勝。自信を胸に、この日は冒頭のトリプルアクセル(3回転半)、演技後半のルッツ-トーループの連続3回転などジャンプを全てそろえた。浜田コーチからは「よくやったね」とねぎらわれ、10日のフリーへ闘志を燃やした。

「ここまで先生が頑張って教えてくれていた。その期待に応えられてうれしいです。順位は表彰台を目標にしたい。4回転が跳べれば気持ちは楽になると思いますし、本当に(鍵は)4回転です」

冒頭に組み込む4回転トーループ。集中力を保ち、フリーに向かう。(トリノ=松本航)