<競泳:日本選手権>◇4日目◇5日◇東京辰巳国際水泳場

 女子100メートル背泳ぎで、92年バルセロナ五輪女子背泳ぎ代表の稲田法子(33=セントラルスポーツ)は1分00秒57の3位に終わり、五輪出場を逃した。トップの寺川綾を追走し、酒井志穂と2番手を競ったが、最後は派遣標準記録にも0秒09届かなかった。それでも第一声は、「もうちょっと、もうちょっと落ち着いてやれればよかった。でも、こうやって試合に出てしびれる感覚を味わえたのは良かった」。やり切った充実感が大きな笑みを作っていた。

 復帰を決めたのは1年前。04年に引退後に米国にコーチ留学していた。そこでマスターズレースなど見て、泳ぐことの楽しさを再発見した。それからの練習は専属コーチを作らない独自。試行錯誤しながら、「前は胸を張っていたのを、逆にして胸をすぼめてボートのようにしました」という。大胆な変更が成功し、今大会の準決勝では1分0秒55の自己最高記録もたたきだしていた。

 今後については、思わず「来年までやりたいな~」。理由は来年の世界選手権の開催地が、岩崎恭子らと「中2トリオ」として騒がれたバルセロナだから。「会社に相談しないといけないですね」と“21年越し”の挑戦にも色気をみせていた。