初優勝を狙う世界ランク2位のアイルランドが、同8位のスコットランドを27-3で破った。昨年のワールドラグビーの年間世界最優秀選手に輝いたSOジョナサン・セクストン(34)が、FWとBKを巧みにコントロール。

セットプレーではノーミスを誇るなど、チームとしてミスがほとんどない、完璧に統一された組織的ラグビーで力の差を見せつけた。万全な状態で28日の日本代表戦に臨む。

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着実に、そして丁寧に、アイルランドが白星をたぐり寄せた。前半5分にSOセクストンの仕掛けから先制トライを奪うと、同13分には敵陣深くでのラインアウトからモールを作り、あっさり押し込んでトライ。ピンチの場面でも、慌てず、反則することなく対処。自陣深くまで攻め込まれた同24分には、堅い守りでノックオンを誘い、こぼれ球にチーム全体が素早く反応。地面に転がるボールを相手インゴールまで蹴り込み、トライにつなげた。

完璧な規律をグラウンドで表現した。セットプレーはスクラム10本、ラインアウト12本を全て成功。反則数は7とスコットランドよりも1つ多かったが、自陣ではほとんど犯さなかった。後半に入ると雨が降り始めたが、相手のミスへの反応速度は落ちず。小さなミスも逃さずに突き、相手に重圧を与え続けた。

鉄壁の守りも見せた。タックル数はチーム全体で139本中、失敗はわずか8本だけ。成功率は日本のロシア戦での86%を上回り、95%を誇った。試合終了間際には、シンビン(一時的退場)でFWを1人欠いたが、組織された防御で守りきり、スコットランドを完封。W杯2連覇中のニュージーランドのような派手こそないが、堅実な攻撃と防御で強豪スコットランドを仕留めた。

次戦はホームの日本。シュミット監督は「日本はとても危険なチーム。本当に速い試合展開、素晴らしいスキルを持っている」と評価。すでに映像でも確認済みで、SH流やSO田村、CTBラファエレらの名前を挙げるなど、研究が十分なことをにおわせた。「フロントにもダイナミックな選手がそろっている。厳しい試合になるだろう」と警戒し、油断は見せず。史上初の決勝トーナメント進出を目指す日本の前に、分厚く巨大な壁として立ちはだかる。【佐々木隆史】

<アイルランド代表のキーマン>

▼フッカー、ロリー・ベスト 1982年8月15日生まれ。185センチ、119キロ。代表120キャップの頼れる主将。泥臭いプレーとスクラムで存在感を発揮

▼SOジョナサン・セクストン 1985年7月11日生まれ。188センチ、92キロ。18年の世界最優秀選手に選ばれた絶対的司令塔。優れた戦術眼と勝負どころのDGも注目

▼WTBジェーコブ・ストックデール 1996年4月3日生まれ。191センチ、103キロ。今大会のトライ王にも推される、欧州屈指の大型フィニッシャー。今年の欧州6カ国対抗でも大活躍した

◆W杯1次リーグ順位決定方法 各組上位2チームが決勝トーナメントに進出する。勝ち=4点、引き分け=2点、負け=0点の勝ち点制で争う。4トライ以上、7点差以内の敗戦には、それぞれボーナスポイント1点が加算される。勝ち点が並んだ場合は(1)直接対決(2)得失点差(3)トライ数差(4)得点数(5)トライ数で決着。ここまで並んだ場合、前回は世界ランキング上位チームが上位だったが、今回は抽選となる。