ラグビー日本代表(世界ランク9位)は23日、ワールドカップ(W杯)1次リーグA組第2戦の同2位アイルランド戦(28日、静岡・エコパスタジアム)に向けて浜松市内で再始動した。

22日に静岡入りし、スコットランドを27-3で破ったアイルランドの初戦をテレビ観戦。世界的SOジョナサン・セクストン(34)や強力FWへの警戒を強めた。新オプションなど引き出しをフル活用し、世界を驚かす大金星をつかみにいく。

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激戦を予感させるような、強い雨が降り注いだ。目と鼻の先にある遠州灘の風を全身で感じ、日本代表は下克上へと歩み始めた。アイルランド戦の地、静岡での再始動。ホテルに戻った34歳のSH田中は「本当に簡単ではないと分かっておいてもらいたい」と切り出し「僕たちはやるべきことをやっている。応援してもらって、日本を信じていただきたい」と呼びかけた。

前日は東京から静岡への移動後に、宿舎でアイルランドの初戦をテレビ観戦。今大会の代表最多71キャップを持つ田中は「FWがすごく強い。雨が降る中であれだけミスが少ないのは厄介」と正直な感想を口にした。W杯最高4位の実績を誇るスコットランドさえ、得点はPG1本のみ。さらには昨年の世界最優秀選手に輝いたSOセクストンが攻守を操り、正確なキックを蹴りこんでくる。初戦のロシア戦勝利で注目度が高まる日本だが、選手は冷静に自らの立ち位置を知る。

だが、打つ手はある。セクストンに対し、日本のCTBラファエレは「彼のスペースと時間を奪う対策があるので、それをしっかりと遂行したい」と力強い。冒頭15分が公開されたこの日は、先発組と見られる集団から主将のリーチが外れ、ロシア戦で活躍した姫野、トライを奪ったラブスカフニの両フランカー、故障明けのNO8マフィの組み合わせでスクラム練習。BKは前戦3トライのWTB松島、トゥポウ、山中の両FBが同時にプレーする場面もあった。3人はいずれもFBを務めることができ、複数の引き出しから最善の策を選択する模様だ。

会見には海外メディアも10人ほど訪れ、ロックのヘルは「アイルランドは日本を、過小評価しているかもしれない」と質問を受けた。返答は「相手は我々を見下し、なめてくると思う。それに対して全てをぶつけたい」。全国のファンも含めた「ONE TEAM」で立ち向かう。【松本航】