命運を分けるポイントは何か?
ラグビーW杯フランス大会で日本代表(世界ランク12位)は8日、アルゼンチン(同9位)との1次リーグ最終戦(ナント)に臨む。勝利または日本のみが4トライ以上した引き分けの場合、2大会連続8強が決まる。
19年日本大会に続き、今大会も初戦のチリ戦から密着取材する担当の松本航記者が、選手の言葉を元に負けられない戦いにおけるキーポイントを探った。
◇ ◇ ◇
勝敗を分けるポイントは細部に宿る。今回のW杯取材を通じて再確認した。
勝利のために欠かせないポイントはスクラム。相手はWTBボフェリ、控えSOサンチェスら複数のキッカーを擁し、フランカーのリーチも「バンバン3点を取ってくる」と自陣からも狙えるPGを警戒する。スクラムで劣勢になると厳しい。
長谷川慎コーチとFWが7年で作ったスクラムは、シンプルで奥深い。根底にある考えは「100%対100%で組むと厳しい」(同コーチ)。組んだ時点で相手の力を60~70%に崩すのが理想だ。大半は安定していた前戦のサモア戦でも修正点が出たという。具体的には重心の位置。スクラムは主審が口にする「クラウト・バインド・セット」の「セット」で組むが、「バインド」までの時点で力の押し引きがある。
サモア戦は第1列が理想の姿勢を作り続けたが、2~3列目の重心が下がった。「セット」の声で8人が最大の力を出せなければ、100%対100%、または差し込まれる。組む前に足を置く位置、膝の高さもミリ単位でこだわる日本だけに、ロックのディアンズは「重心を下げない。それをすればいいヒットができる」。プロップ稲垣は長谷川コーチが作り上げたスクラムの特徴を「1人1人の役割が明確」と口にしており、修正に時間は要さない。
スクラムが安定すれば、BK陣はキックの攻防。イングランド戦の前半は高いボールの競りで苦戦を強いられた。WTB松島は「キャッチをする人がボールを取ることに集中できるようにしたい」と明かす。周囲の選手の立ち位置にもこだわっており、ここでも体格に勝る相手との100%対100%の攻防を作りたくない。今大会初出場で187センチのWTBフィフィタの対面が191センチのボフェリ。3試合連続先発で機動力にたけた177センチのナイカブラが控えとなり、フィフィタは「フィジカルで勢いをつけたい」と意気込む。
土台が築ければ、攻撃だ。1試合平均の反則数は日本の7・3個に対し、相手は11・0個。CTB中村は「我慢して攻撃し続ける。フェーズ(攻撃の数)を重ねるとアルゼンチンはペナルティーをしやすい」と言い切った。SO松田は前戦まで16本中15本のゴールを決め、成功率は約94%。勝利すれば決勝トーナメント進出が決まる大一番で、3点の計算ができるのは強みだ。がっぷり四つに持ち込ませないための小さなこだわり、緻密な準備が実った時、2大会連続の8強がはっきりと見える。【松本航】
◆松本航(まつもと・わたる)1991年(平3)3月17日、兵庫・宝塚市生まれ。武庫荘総合高、大体大ではラグビー部に所属し、FW2列目のロックを担った。13年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社し、プロ野球阪神担当。15年11月からは五輪競技やラグビーを中心に取材。




