<柔道:世界選手権>◇27日◇女子57キロ級◇オランダ・ロッテルダム

 女子57キロ級で初出場の松本薫(21=帝京大)は準決勝で敗れ、メダルも逃した。

 松本がケガに泣いた。アクシデントが起きたのは準々決勝。優勢勝ちを収めたが終盤に右手甲を負傷した。「(胴着を)持ちに行った時にバキッとなった」。準決勝は痛み止めを1錠飲み、テーピングをして臨んだが、まったく右手を使えない。相手の胴着を握れず、開始42秒で大腰で投げられ、金メダルの夢が破れた。3位決定戦も14秒で投げられた。「勝てないのは自分の力のなさ」と言い訳はなかった。

 日本柔道界で五輪、世界選手権を含めて、この階級だけ金メダルがない。階級区分が変更される前の56キロ級を通じても最高成績は銀。今大会も女子の7階級中、最多の38人が出場した層の厚い階級だった。潜在能力の高い松本への期待は高かったが、ケガの影響で頂点にはたどり着けなかった。

 ケガがなければ-。そんな周囲の淡い思いは現場が打ち消した。女子代表の園田監督は「また(谷)亮子の名前を出すが、亮子ならケガをしてもどう戦うか分かっている。そこが信用できる選手との差」と厳しかった。松本は苦い思いを糧にするしかない。