DeNAに育成ドラフト1位で入団した笠井崇正投手(22=BCリーグ信濃)は異色の経歴の持ち主だ。

 北海道・旭川西から一般入試で進学した早大では、野球部を2日で退部した。「一般で入って推薦(入学の学生)よりチャンスが少なく、つかむためには目立つ必要がある。チャンスをもらうまでが大変だな」と、入部2日目の夜に「やめます」と伝えた。当然プロへの道は頭にはなかった。

 サークルなどでプレーし趣味の域にとどまっていたが、母校での試合で球速140キロ超えを記録。「BCリーグでやっていれば、もしかしたらチャンスがあるかもしれない」と、大学3年の冬にトライアウトを受け、信濃入りが決まった。3年間でほとんどの授業で単位を取得していた笠井は、チームのある長野へ引っ越し。わずかな授業やゼミのときは友人の部屋へ転がり込んだ。

 現役大学生にして独立リーグでプレーする環境。野球と学業を両立させて、卒論も当然書いた。題名は「投球動作の所要時間と投球速度の関係及び、投球速度の不安定性に影響を与える体力要素」。クイックモーションの手本として、球界最速と言われるDeNA久保康友投手(36)も参考資料に使った。研究した結果を「早く投げたいと焦って投げて球速も遅くなっていた。意識するようになってからはよくなった」とプレーに反映させる。

 今では最速151キロの力強い直球が持ち味。異色の経歴からつかみとったプロでは「リリーフでやりたい。直球の強い投手になりたい」と、プロでの成功を思い描いている。【DeNA担当=栗田成芳】