廃部危機に直面するPL学園が6日、大阪・富田林市のPL球場で今年の初練習を行った。15年春からの新入部員募集停止で現在の部員は2年生のみ12人。募集再開予定は今も現場に伝えられず、このままなら12人が高校最後の夏を迎える大阪大会が、甲子園春夏7度の優勝を誇る名門にとって最後の公式戦になる。

 逆風を受けながらも梅田翔大主将(2年)は「部員数は少なくても一丸になれる。1人が全力を出せば周りは応えてくれる」と覚悟のスタートを切った。朝日を受けたグラウンドに12人の声が響いた。「この人数で食らいついていこう」。指導にあたる千葉智哉コーチ(26)が新チーム発足以来呼びかけてきた言葉を、12人は現実味を持って受け止めるようになった。

 転機は昨年11月28日の練習試合・大商大堺戦。秋季近畿大会府予選は初戦でサヨナラ負けし、その後の練習試合は2勝4敗。だが昨年最後の実戦で、秋の大阪1位校と5-5で引き分けた。自信が生まれた。

 草野裕樹校長監督(64)の参謀役の土井塁人外野手は長期入院で1年留年し、公式戦は昨夏が最後。記録員でのベンチ入りとなり、試合に出られる部員は11人。エース藤村哲平に続く投手は正捕手の梅田、右翼と捕手兼任の森実尚之で、やりくりは苦しい。多くの名選手を育てたPL球場も今夏までの使用は認められているが、その後は未定。それでも今の部員は、部の窮状を分かった上でPL学園を選んだ。梅田は「決してみじめにはならない。自分で決めた道ですから」と言いきった。【堀まどか】