DeNA筒香の胸が、自然と熱くなった。1-1の8回1死三塁。打席に立った主砲の一振りは、高めの球の上をたたいたボテボテの打球だった。弾みながら右前へ一時勝ち越しの適時打。「イシさん(石川)が出塁してくれて、カジさん(梶谷)が必死に進塁打を打ってくれた姿を見て、燃えるものがあった」。25歳にして主将で4番。先輩たちがつないでくれたチャンスに、意地でも応えたかった。

 9回に追いつかれ、延長12回で引き分け。勝てなかった。でも負けなかった。この1点の重みを受け止めている。先頭の石川が左中間二塁打を放ち、続く梶谷が徹底的に右打ち狙いで進塁打。「ああいう姿はチームが変わった証拠。去年まではなかった」。心は燃えながらも、頭は冷静。「球は低くても外野フライを打てる感覚はあった。狙いというよりはフルスイングすることを意識した」。結果的にその気持ちが、ゴロで外野まで運んだ。

 これで2試合連続の打点。今季まだ77打席連続で本塁打はなくても、この1点は重い。ラミレス監督も「4番として何とかしないといけない気持ちが伝わってきた。あそこで本塁打は必要ない」と、チームの成長を感じ取っていた。【栗田成芳】