<阪神3-1横浜>◇11日◇甲子園
ジャパニーズドリームへの幕開けだ。育成選手からはい上がってきたバルディリスが、来日初安打を放った。2点リードの7回。横浜吉見の143キロ直球に詰まりながら、ハーフライナーで右翼線に落とした。全力疾走で二塁にヘッドスライディング。「次の塁を狙うのは当然のことさ」。泥だらけで両手をたたく姿に、球場全体から大きな拍手が送られた。
2月。安芸キャンプで入団テストに合格。潜在能力を評価され、育成選手契約をゲットした。そこから猛スピードで出世街道を突っ走る。2軍戦で打率3割2分7厘、5本塁打の成績を残した。今月2日に支配下選手登録、そして翌日には1軍昇格だ。
前カードの巨人戦が行われた東京ドームでは、偉大な先輩と再会した。7日の試合前、敵の主砲ラミレスと談笑。実はこの2人、母国ベネズエラではご近所さん。車で10分程度の距離で暮らし、今も連絡を取り合う仲だ。これまでは実績が違いすぎたが、母国の地球の裏側で同じ舞台に立った。
そんな25歳の若武者を、チームメートは温かく受け入れた。先日、町田2軍打撃コーチを経由して1本の練習バットを贈られた。番号は「53」。選手会長赤星のバットだ。グリップの手になじみ、今ではすっかりお気に入り。このバットで腕を磨き、1軍5打席目で初安打をマークした。
いつもはシャイな男も、試合後は満面の笑み。「ありがとう。(記念の)ボールをもらったから、みんなにサインしてもらって、飾っておくよ」。すっかりチームになじんでいる。【佐井陽介】



